1994 Fiscal Year Annual Research Report
リン脂質膜中のレチナ-ル及びバクテリオロトプシンの電気化学的研究
Project/Area Number |
06804041
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
小川 信明 秋田大学, 教育学部, 助教授 (80169193)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻内 裕 秋田大学, 教育学部, 講師 (70250868)
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Keywords | リン脂質 / レチナ-ル / バクテリオロドプシン / 電気化学 |
Research Abstract |
1.大腸菌内におけるバクテリオオプシン遺伝子の発現(論文1)-いくつかの部分構造遺伝子を再融合したバクテリオロドプシンを製造するための基礎研究として、大腸菌中にバクテリオオプシン(BOP)遺伝子を発現させるために、誘導発現ベクターpUBOが天然コドンとともとに作成された。このベクターpUBOにはlac-promoterに連なるlacZの部分構造遺伝子とBOPの構造遺伝子が含まれ、このpUBOを用いて融合タンパクの発現に成功した。その発現は、anti-BOP(抗血清)使ってELISA法によって確認され、大腸菌の膜分画中に0.1%程度との融合タンパクの存在が認められた。 2.電気化学的研究-まず、脂質膜(DOPC)中のレチナ-ルの電気化学的挙動を調べた。脂質膜(DOPC)中にレチナ-ルを閉じ込め、これを静止水銀滴電極に吸着させたものの電極反応(基礎液:0.55M KCl,pH7)を、サイクリックボルタンメトリー(CV)を用いて観測した。その結果、-0.8V(vs.Ag/AgCl)付近に不可逆2電子還元反応が観測され、これは、レチナ-ルのアルデヒド基がアルコールに還元されたものと考えた。次に、BRのCVの測定を試みた。基礎液として10mM HEPES+0.1M KClを用い、これに1.6μMのBRを添加し、その紫色の溶液のCVを測定した。-0.25V付近(可逆)及び-0.4V付近(不可逆)に小さなピークが見られた。このピークは、基礎液だけのときには見られないことから、BRによるピークであることは確認できた。そして、基礎液のCVなどとの比較から、酸素に関係のあるピークであるものと考えた。今後はこのピークを中心に、脂質膜の実験との関連やその反応機構を明らかにするため、溶液組成や酸素濃度のCVに与える影響を調べたい。また、これらの結果を踏まえて、BRや酸素の微量分析法の開発につなげたい。
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[Publications] Yutaka Tsujiuchi: "Expression of Bacterioopsin Genes in Escherichia Coli" The Science Reports of the Tohoku University. series 8 14. 229-236 (1994)
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[Publications] 村田 勝夫: "日本海側地域における腐食銅板の高感度反射フーリエ変換赤外分光法による表面分析" 分析化学. 43. 203-207 (1994)
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[Publications] 小川 信明: "水銀電極における硝酸イオンの電極還元反応に及ぼす種々の金属イオンの触媒効果" 分析化学. 44. 63-66 (1995)