1995 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト乳児と類人猿における手を用いたジェスチャーの系統比較
Project/Area Number |
06804057
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
正高 信男 京都大学, 霊長類研究所, 助教授 (60192746)
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Keywords | 乳児 / 類人猿 / チンパンジー / ジェスチャー / 系統 / 比較 / コミュニケーション / 社会行動 |
Research Abstract |
昨年度にひきつづき、新たにヒト乳児15名について、生後6ケ月より毎月5日間、一ケ年にわたり家庭訪問を行い、乳児が母親と自由に相互作用を行う場面をビデオに録画し、同時にまた音声をテープレコーダに録音する作業を、実施した。ビデオテープより手のジェスチャーをカテゴリー化し、音声を喃語・ク-イングごとに分類したものとの対応関係を検討した結果、昨年と全く同じようにbangingに代表される行程の反復運動だけが特異的に喃語の発声と同期し、しかも喃語発現期のごく初期にのみ生起することが分った.そこで本年度はだらにこの時期の音声の詳細な分析を試みた.分析の結果、(1)身体運動の同期が生ずる以前の音声は、根本的に未だフォルコント構造を形成していない、(2)身体運動と同期が見られる期間においては、同期して発せられた音では各音節の長さと第一フォルコントのフォルコント周波数移行時間の長さが、同期せずに発せられた音のそれよる有意に短かくなる.(3)身体運動との同期がもはや見られなかったあとの音声の音節の長さと第1フォルコントのフォルコント周波数移行時間は、身体運動との同期が生じていた期間に、まさに同期して発せられていた音のそれと近似していることの3点が判明した.同時にチンパンジーにおいて同様の周期が見られないか否かを検討したところ、同期自体は有在することが確かめられた.但しチンパンジーでは多音節の発声に対するチンパンジー自体の聴覚選好が見られず、そのため、多音節発声への移行が生じないのだろうと推測された。
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[Publications] N. Masataka: "The relation between index-tinger extension and the guality of cooing in Three-month-old intonts" Jouvral of Child Longuage. 22. 247-257 (1995)
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[Publications] 正高信男: "「あざむき」行動の進化" 月刊「言語」. 25/3. 34-40 (1996)
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[Publications] 正高信男: "別冊「発達」第20巻" ミネルウァ書房, 193 (1996)