1995 Fiscal Year Annual Research Report
環境汚染とコンクリート構造物の耐久性および美観の係わりに関する基礎研究
Project/Area Number |
06805039
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
松本 進 鹿児島大学, 工学部, 教授 (00041567)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武若 耕司 鹿児島大学, 工学部, 助教授 (10155054)
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Keywords | コンクリート構造物 / 環境汚染 / 酸性雨 / 耐久性 / 美観 / 中性化 / 鉄筋腐食 / 表面被覆材 |
Research Abstract |
本研究では、環境の弱酸性化の代表的なものとして酸性雨を取り上げ、コンクリート構造物の耐久性や美観に及ぼすその影響について検討を行うものである。ここでは、耐久性の観点から、酸性雨がコンクリートの中性化や鉄筋腐食に及ぼす影響ならびに、これら劣化に対する表面被覆材の有効性について室内促進実験と暴露実験によって検討を行った。以下に、本年度に得られた結果を取りまとめて示す。 まず、促進実験の結果から、次のことが明らかとなった。 (1)比較的健全なコンクリート面に対しては、コンクリートの中性化に対する酸性雨の影響は、初期の段階では認められるが、長期的にはその影響は小さくなる。 (2)ひび割れ幅が大きな場合には、酸性雨は、ひび割れ部コンクリートの中性化や鉄筋腐食を継続的に促進させる。 (3)酸性雨が鉄筋腐食に及ぼす影響は、ひび割れ幅が大きくなるほど、水セメント比が大きくなるほど、また、ある程度中性化が進行している場合ほど大きくなる。 (4)本研究で考案した促進試験方法は、酸性雨によるコンクリート構造物への影響を十分評価できる。一方、暴露実験から以下のことが確認された。 (1)pH4を下回る酸性雨が常時降り注ぐ自然環境に1年間曝されたコンクリートの中性化深さは、pH5程度の降雨環境における場合の数倍の速度で進行していた。 (2)ある程度中性化の進行したコンクリートでは、酸性雨中の硫酸イオン、塩素イオン等が、僅か1年の間にコンクリート中の中性化フロント付近にかなり多量に集積する。 最後に、表面被覆材の劣化抑制効果等に関して、以下のことが明らかとなった。 (1)エポキシ樹脂塗装を施すことによって、酸性雨によるコンクリートの劣化を抑制することは可能である。ただし、コンクリートにひび割れが生じる構造物では、そのひび割れに追従する柔軟性に富んだ塗膜を塗布する必要がある。 (2)酸性雨の影響を頻繁に受けるコンクリート面では、かえって、かびなどに起因する汚れが付き難くくなる状況も見られた。
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Research Products
(1 results)