1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06805066
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
徳満 和人 東京大学, 工学部, 助手 (20180143)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井野 博満 東京大学, 工学部, 教授 (20029466)
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Keywords | メカニカルアロイング / メカノケミストリー / 金属酸化物 / 還元反応 / 非平衡反応 / 機械的活性化 |
Research Abstract |
本年度は、鉄酸化物粉(ヘマタイト、Fe_2O_3)と炭素粉のメカニカルアロイング法による室温還元の可能性を調べた。本系は、還元過程が連続的な酸素欠損であれば、以下の様な反応式が想定される。相の同定は通常X線回折によって行われるが、Feが磁性元素であることから、磁気分析や^<57>Feメスバウアー分光などによる原子レベル評価が可能である。 不活性ガス雰囲気におけるMAによって、Fe_2O_3→Fe_3O_4までの還元に成功した。またSEM観察から、粉体の形態はヘマタイト粒子が炭素粒子によって覆われており、数ミクロンのオーダーであることがわかった。X線回折の測定では、10時間の反応時間からマグネタイト相が確認され、100時間においてFe_3O_4の単相となった。しかし、Fe_3O_4相の段階で反応は停滞し、酸素の欠損化は進行しなかった。これは、Fe_3O_4粒子の凝着が激しく、MA法による活性化が充分に発揮されていないことによるものであり、次年度は、反応器の形状を変更して(球体)問題を解決する必要性がある。 ^<57>Feメスバウアー分光測定からは、X線回折による同定とは異なる結果が得られた。γ-ヘマタイトは室温でスピネル構造である。磁気的にはフエリ磁性であることから、6本に磁気分裂した共鳴吸収が観測される。酸素原子の欠損化に伴って逆スピネルのマグネタイトに変化するが、本実験ではマグネタイト相の吸収スペクトル以外にも、連続的に内部磁場の減少する吸収スペクトルが観測された。平衡熱力学ではヘマタイトはマグネタイトへ不連続に起るが、この結果は酸素原子の連続的な欠損化の可能性を示唆するものであった。
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