1994 Fiscal Year Annual Research Report
リン原子が関与する新しい化学発光系の開発と基礎的研究
Project/Area Number |
06805077
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
本吉谷 二郎 信州大学, 繊維学部, 助教授 (60126711)
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Keywords | 化学発光 / スファー1、2-ジオキセタン / オキセタンイミン / クリジン |
Research Abstract |
アクリダン系ホスホネートを各種合成し、塩基存在下での酸素酸化における化学発光およびその反応機構について検討を行なった。いずれも暗所にて発光が観測されたこと、また反応後の生成物の同定により高エネルギー中間体としてホスファー1、2-ジオキセタンを経由していることを強く示唆した。この反応の初期段階では炭素陰イオンから酸素分子への一電子移動によるラジカル生成を含むことをESRスペクトル測定より明らかにした。一方、この化学発光系を含水系に適用するために数種のアクリジンホスホネートを新たに合成し検討したところ、過酸化水素を酸化剤として使用することが可能であることが分かった。この実験においてリン原子の置換基により発光強度が変化することが示された。これらの一連の研究により、リン原子を含む中間体が高エネルギー状態を形成することが明らかとなり、リン原子が関与する化学発光の確立という目的の一つを達成することができた。 上記研究と並行して、アクリンダンホスホネートより導かれるケテンイミン誘導体の酸化による化学発光についても検討した。この酸化反応によりイミノジオキサタンを経由する化学発光が観測された。これはイミノジオキサタンの分解により生成した励起カルボニルの蛍光が直接視認できるという始めてのものである。ただし、発光強度はかなり弱く、その理由を分子軌道計算により理論づけた。この成果はすでに複素環化学専門誌において発表予定である。 以上のように、本研究において新しい化学発光系の確立とその基礎的な知見が得られ、一応の成果を収めることができた。今後、さらに精密な実験を重ねて、詳細を明らかにするとともに、より実用的な反応系を確立したいと考えている。
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Research Products
(1 results)