1994 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内リドックス(酸化還元状態)による遺伝子発現の調節とその栄養制御(HIV-1の転写制御によるAIDS発症予防に関する基礎的研究)
Project/Area Number |
06806017
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小田 裕昭 名古屋大学, 農学部, 助手 (20204208)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
垣沼 淳司 名古屋大学, 農学部, 教授 (50252276)
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Keywords | 細胞内リドックス / 抗酸化剤 / NF-kB / エイズ |
Research Abstract |
pHIV-1-LTR-CATをトランスフェクシヨンしたHeLa細胞に、UVC照射や発癌プロモーターであるPMAで処理することにより、顕著にCAT活性が上昇した。PDTCの添加によりCAT活性の誘導は完全に抑制された。炎症反応に伴いマクロファージより分泌されるTNFαを用いた場合でも同様な結果が観察された。SH基を持った抗酸化剤であるPDTCによって、異なった外的刺激によるHIV-1-LTRの転写活性化が抑制されたことは、異なった外的刺激の情報伝達過程の中にSH基による酸化還元状態の変化(Redox)に感受性の高いステップがあることが示唆される。これまでSH基を持った抗酸化剤以外にビタミンEなどのキノン系抗酸化剤が知られているが、これら抗酸化剤の作用点は細胞膜内もしくは細胞膜内側の細胞膜に隣接した部位であることが以下の理由から推測される。1)SH基を持った抗酸化剤は水溶性であり、ビタミンEは脂溶性抗酸化剤である。2)UVCの情報伝達にはプロトオンコジーンであるSrcやRasの関与が知られている。3)UVCの影響は不活性化されたRasの大量発現によって抑制される。 UVCやPMA、TNFαなどの異なった細胞外刺激が抗酸化剤により抑制されることが明らかとなったが、これらの影響がπB配列を介して転写を調節しているか検討するためπB配列に変異を加えたp△πBHIV-1-LTR-CATをHeLa細胞にトランスフエクションした。UVCやPMA、TNFαによるHIV-1-LTRの転写活性化はπB配列の変異により見られなくなり、これらの外的刺激がπB配列を介して転写調節をしていることを示している。これらの結果は肝癌細胞株であるHepG2細胞においても観察された。
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