1995 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内リドックス(酸化還元状態)による遺伝子発現の調節と栄養制御
Project/Area Number |
06806017
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小田 裕昭 名古屋大学, 農学部, 助手 (20204208)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
垣沼 淳司 名古屋大学, 農学部, 教授 (50252276)
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Keywords | 細胞内リドックス / NF-kB / 情報伝達 / エイズ / 分子生物学 / 栄養学 |
Research Abstract |
pHIV-1-LTR-CATをトランスフェクションしたHeLa細胞に、UVC照射や発癌プロモーターであるPMAで処理することにより、顕著にCAT活性が上昇した。PDTCの添加によりCAT活性の誘導は完全に抑制された。炎症反応に伴いマクロファージより分泌されるTNFαを用いた場合でも同様な結果が観察された。SH基を持った抗酸化剤であるPDTCによって、異なった外的刺激によるHIV-1-LTRの転写活性化が抑制されたことは、異なった外的刺激の情報伝達過程にSH基による酸化還元状態の変化(リドックス)に感受性の高いステップがあることを示唆している。これまでSH基を持った抗酸化剤以外にビタミンEなどのキノン系抗酸化剤が知られている。しかしながら、実際にどのような酸化還元状態が、つまりどの反応性酸素中間体が関与しているかは全くわかっていない。 ヒドロキシラジカルのスカベンジャーであるチオ尿素、エタノール、マンニトール、DMSO、DMTUいずれも活性化されたNF-kBを抑制することはなかった。また、還元剤であるアスコルビン酸、一重項酸素のクエンチャーであるヒスチジンも活性化を抑制しなかった。以上の結果から、様々な外的刺激によりNF-kBが活性化される機構において特定の反応性酸素中間体が関与している可能性は少なく、むしろSH基のジスルフィド結合への変換のような、細胞内リドックスが重要であると考えられた。 TNFαやPMAで細胞を処理したとき、ヒドロキシラジカルのスカベンジャーであるDMSOはむしろその活性化を増強することを見出した。DMSOの増強作用はUVCを処理したときには見られないもので、単独で活性化作用のない化合物がNF-kBの活性化増強作用を持つこの現象は初めてのものである。
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