1994 Fiscal Year Annual Research Report
森林物質循環における連続反応系での化学成分反応輸送過程の解明
Project/Area Number |
06806019
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
竹中 千里 名古屋大学, 農学部, 助手 (40240808)
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Keywords | 物質循環 / 樹幹流 / 林内雨 / 土壌水 / 季節変化 / 溶脱 / 取りこみ / イオン交換 |
Research Abstract |
本研究では、樹木体、土壌表面を覆うリター層、A層、B層を連続反応系とみなし、連続的に物質が移動する間に起こる反応プロセスおよびその律速メカニズムを解明し、その結果に基づく新しい物質循環モデルの構築を目的とするものである。今年度はその中で、樹木体、土壌層においておこる物質移動のプロセスとメカニズムに関わる研究を実施した。 (1)樹木体 名古屋大学構内ヒノキ林において、葉面上での化学成分の挙動すなわち「取り込み」と「溶脱」について、乾性降下物として葉面に付着する成分の量を測定することによって調べた。その結果、春(成長期)では、葉面からの化学成分の取り込みが見られ、それ以外の季節では、溶脱が顕著であることが明らかとなった。特に、陰イオンでは、Cl、NO3イオンは四季を通して、溶脱が認められるのに対し、SO4イオンは取り込みも起こっていることが確認された。 (2)樹木体-土壌 三重県林業技術センター実験林内ヒノキ林においてやぐらを組み、梢端上から人工降雨を降らせて樹幹流および土壌水を採取し、化学成分(陽イオン、陰イオン)の測定を行なった。人工降雨は、pH6.8に調整したものと,pH3.2に調整したものを降らせた。その結果、樹幹流のpHは、どちらの場合もpH3.5以下となり、陽イオンとしてCaの減少が認められた。また、土壌水はどちらの場合もpH4.5前後となり、土壌中でのpH緩衝作用の働きが示唆された。そのメカニズムについては現在検討中である。 (3)観測 樹幹流、林内雨の観測を継続して行っている。(1)(2)の結果との整合性は今後の課題である。
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