1994 Fiscal Year Annual Research Report
コンクリートダムの耐震設計、特に地震時動水圧の算定に関する解析的研究
Project/Area Number |
06806028
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
松本 伸介 高知大学, 農学部, 講師 (00181769)
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Keywords | 貯水ダム / 地震時動水圧 / 境界要素法 / 耐震設計 / 数値解析 |
Research Abstract |
これまで自分らは,入力加速度である地震波を理想的な調和振動に限定し、2次元境界要素解析を実施してきたが,今回,それをより一般的な不規則波の場合にも対応できるように改善した。すなわち,不規則波をフリーエ変換することで複数の調和波に分解し,個々の調和波を入力振動とした時の応答動水圧をフーリエスペクトル比に応じて線形結合することで,元の不規則波に対する動水圧を算定した。具体例として,並行して実施した水槽を振動させる室内試験より得られた数種類の加速度データを,当解析システムへの適用例として用いた。 さらに,堤体上流面上の任意の水深を指定すれば,その点における動水圧の時刻歴が容易に図化できるシステム,および任意の時刻を指定すれば,その時の動水圧の水深方向分布が容易に図化できるシステムを構築した。 併せて,矩形貯水池の上下流方向の長さ(L)と水深(H)の比が算定動水圧に与える影響についても考察した。 その結果,次のような知見が得られた。 1.上流面上での位置,または時刻を指定することで,動水圧状態を図化できるシステムを開発したことにより,動水圧の観点から見た危険な位置,時刻を知ることが視覚的に可能となった。 2.L/H=1,2,3,10の場合と,L/H=5の場合で動水圧の水深方向分布状況が大きく異なった。共振の問題も含め,その原因についてさらなる検討の必要があろう。 3.入力波として用いた水槽振動データが、1次の卓越振動があまりに支配的であったために,当研究の特徴である不規則性に対するメリットを充分に生かす事例とはなり得なかったが,取り扱い方法自体はどんな入力波の場合にも援用できると考える。 4.高振動になると,動水圧の水深方向分布は不可解な形状を呈するようになり、この点の見直しが必要である。
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