1995 Fiscal Year Annual Research Report
ノイズFFTインピーダンス解析による農産物の物性モニタリング
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06806029
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
豊田 浄彦 神戸大学, 農学部, 助教授 (30144603)
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Keywords | ジャガイモ / 温度推定 / 糊化検出 / 浸透圧 |
Research Abstract |
ジャガイモ試料の加熱実験を通じて、熱移動物性と電気的等価回路モデルとの関係を調べた。 1)等価回路モデルとして、細胞外抵抗Ra、細胞内抵抗Rs、膜容量Cm、位相角ψをパラメータとする修正Haydenモデルを採用した。室温〜約50℃の区間では、Ra、Rs、Cmと温度との間に線形関係を認め、インピーダンス計測による温度推定が基本的に可能であることを明らかにした。 2)52℃〜71℃の糊化に生じる温度範囲ではRaの減少とRsの増加が認められた。組織の顕微鏡による観察から、これは澱粉顆粒の膨潤により、細胞内から細胞外への電解質の移動に起因するものと見做され、インピーダンス測定により糊化の検出が可能であることを明らかにした。 3)1)の温度範囲でのパラメータの応答は、単なる温度係数ではなく、温度変化に伴う浸透圧の調節も関与していることが、応答速度の考案から推察された。これより、インピーダンス測定から、植物組織の環境応答速度を知る可能性が示唆されると共に、動的現象の測定に適したノイズFFTインピーダンス測定システムの有効性が示された。 4)以上の結果、考察から、物性モデルの作成に当たって、細胞内外の要素の特性とその構造様式に基づいて組織全体をモデル化することが必要であるとの結論を得た。 なお、本年度の計画では、浸透圧と見られる動的な挙動という、興味深いものの予期しない知見が得られ、その解析を優先したため、計画を変更し、粘弾性特性の検討については、今後の課題とした。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Kiyohiko Toyoda: "Impedance Spectroscopic Analysis in Agricultural Products" In : Developments in Food Engineering,Blackie A & P.PART 1. 143-145 (1994)
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[Publications] K.Toyoda, I.Farkas and H.Kojima: "Monitoring the Changes in Material Properties of Agricultural Products during Heating and Drying by lmpedance Spectroscopic Analysis" Journal of Food Physics. RART 2. 96-98 (1994)
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[Publications] 豊田 浄彦・宮本哲志・筧 美樹: "電気インピーダンス計測による植物細胞組織の状態モニタリング(第2報)-加熱過程における インピーダンス特性の変化-" 農業機械学会関西支部報. 第79号(印刷中). (1996)