1995 Fiscal Year Annual Research Report
レプリカ膜を用いた超高分解能走査電顕像に関する基礎的研究
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06807002
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
井上 貴央 鳥取大学, 医学部, 教授 (20116312)
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Keywords | レプリカ膜 / 走査型電子顕微鏡 / 膜内粒子 / 超微形態 / クロム薄膜 |
Research Abstract |
超微形態をレプリカ膜で観察するため、クロム薄膜レプリカを作製し、走査電顕(SEM)、透過電顕(TEM)、原子間力顕微鏡(AFM)や走査トンネル顕微鏡(STM)を用いて観察した。レプリカ試料はコンタミネーションのため、通常の方法では走査電顕で観察が出来なかったが、加熱ステージを用い、試料を加熱しながら観察したところ、試料汚染のない超高倍率像を得ることが出来た。レプリカSEM法では試料破断面に対応する面を観察しているので、本来突出している構造物は陥凹構造として観察された。SEM像では膜内粒子はピット状の陥凹構造としてとらえられた。これまでのTEMで観察された膜内粒子は比較的大きさや形が均一であるのに対し、SEMで観察された膜内粒子は、いびつな形を呈しているものが多かった。クロム薄膜は膜の粒状性が小さく優れていたが、透過電顕で観察すると充分なコントラストが得られず、微細形態の観察は不可能であった。そこで、クロムと白金カーボンの二重蒸着法を考察し、TEM像とSEM像の対比を試みた。この方法によってTEM像とSEM像の対比が可能になった。TEM像ではとらえることができなかった膜内粒子よりも小さい小陥凹構造がSEM像で多数観察された。この様な微細な構造物は従来のTEMによるレプリカ法では明らかにされていなかったものである。超高分解能SEM法は、これまでのTEM法よりもさらに微細な分子レベルでの形態を明らかにできることが示され、今後本法がギャップ結合などの膜結合蛋白の微細形態の解明に役立つものと信じている。また、このレプリカSEM法で得られた試料は原子間力顕微鏡(AFM)や走査トンネル顕微鏡(STM)の試料として用いることができる可能性がある。これまで、AFMやSTMを用いて応用を試みたが、試料作製法と観察法に解決しなければならない問題点が多く、まだ十分満足のできる所見は得られていない。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 井上貴央: "レプリカ走査電顕法による超高分解能像と今後の展開" 解剖学雑誌. 69. 212 (1994)
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[Publications] 長武 均: "生物試料レプリカ膜のTEMとSEMによる双補観察" 生理学技術研究会報告. 16. 20-23 (1994)
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[Publications] 井上貴央: "レプリカ膜の超高分解能SEM観察の意義とニューマイクロスコープへの応用" 三次元微小解剖. 1. 57-60 (1995)
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[Publications] 井上貴央: "生物試料レプリカ膜の超高分解能走査電顕観察" 細胞. 27. 4-7 (1995)