1994 Fiscal Year Annual Research Report

自己血管平滑筋細胞反応性T細胞による実験的血管炎モデルの作成とその発症機構の解析

Research Project

Project/Area Number	06807020
Research Institution	Kyoto University
Principal Investigator	尾崎承一京都大学, 医学部, 講師 (00231233)
Keywords	血管炎 / 動物モデル / MRL / nマウス / 血管平滑筋 / CD4^+T細胞 / 肺小血管炎 / 細胞障害機構 / Fasリガンド
Research Abstract	【目的】血管炎の発症機序の全貌は不明であり、その動物モデルも少ない。今回、血管炎発症におけるCD4^+T細胞の意義を明らかにするため、血管炎惹起性のマウスCD4^+T細胞ラインの樹立を試みた。【方法】Lewisラットの胸部大動脈中膜から血管平滑筋細胞を株化した。このラット血管平滑筋細胞株をMRL/nマウスに免疫し、血管平滑筋特異的CD4^+T細胞ラインMV1を樹立した。このT細胞ラインの抗原特異的増殖能・サイトカイン産生能・細胞障害性や同系マウスへ移入したときの血管炎惹起性を解析した。【結果】T細胞ラインMV1は、抗原提示細胞の存在下で、血管平滑筋抗原に対して濃度依存性に増殖し、種々のサイトカインを産生した。この増殖は抗原提示細胞依存性・CD4依存性・抗原特異的であった。特異抗原または抗CD3抗体で活性化したMV1はBリンパ腫細胞A20.2Jを殺した。標的細胞として、Tリンパ腫細胞株(Fas^-)とそのFasトランスフェクタントを比較すると、後者のみが殺された。活性化MV1T細胞(1x10^7)を、サイクロフォスファミドで前処置した同系マウスの腹腔内に移入すると、肺の小動脈周囲にリンパ球を中心とした細胞浸潤や血管壁の破壊を認めたが、他の臓器には全く血管炎を認めなかった。【考案】MV1は血管炎惹起能を有する、血管平滑筋特異的な細胞障害性CD4^+T細胞であり、Fasリガンドを介した細胞障害機構を有することが推定された。このT細胞ラインは、活性化した後に同系マウスの腹腔内に移入することによって、肺の小血管にのみ血管炎を惹起した。この血管炎病変が肺に限局した理由は現在のところ不明であるが、投与経路が静脈内ではなかったことから、少なくとも血流の問題ではなさそうである。MV1による血管炎発症機構は今後の課題であるが、Fasリガンド介在性細胞障害活性やMRLマウスという遺伝素因などが関与している可能性があり、今後、lpr/lprを含めた種々のマウスへの移入実験が必要である。MV1による血管炎は抗原特異的CD4^+T細胞の受身移入による初めてのこの血管炎発症モデルであり、血管炎の発症機序の解明および新たな治療法の開発において極めて有用な手段となる。

Research Products

(8 results)

All Other

All Publications (8 results)

[Publications] Okazaki T.,他: "CD4^+ T cells require adhesion via LFA-1/ICAM-1 to induce target apoptosis in TNF-independent pathway." Cell.Immunol.156. 135-145 (1994)
[Publications] Okazaki S.,他: "Biological response modifier (BRM) as an antigen.III.T-cell lines specific for BRM kill tumor cells in a BRM-specific manner." Cancer Immunol.Immunother.(in press).
[Publications] Suda T.,他: "Expression of the Fas ligand in cells of T-cell-lineage." J.Immunol.(in press).
[Publications] 尾崎承一・他: "T細胞ワクシネーション・ペプチド療法" 内科. 73. 715-717 (1994)
[Publications] 大村浩一郎・他: "膠原病に対する特殊免疫学的治療" 総合臨床. 43. 1098-1101 (1994)
[Publications] 尾崎承一: "自己免疫疾患-T細胞レセプター" Biotherapy. 8. 818-825 (1994)
[Publications] Ozaki S.(共著): "Cellular Immunology Labfax" Delves P.J.・編 BIOS Scientific Publishers(Oxford), 259 (1994)
[Publications] 尾崎承一(共著): "NEWメディカルサイエンス:自己免疫疾患" 山本一彦・編羊土社(東京), 172 (1994)

1994 Fiscal Year Annual Research Report

自己血管平滑筋細胞反応性T細胞による実験的血管炎モデルの作成とその発症機構の解析

Principal Investigator

尾崎 承一 京都大学, 医学部, 講師 (00231233)

Research Products

[Publications] Okazaki T.,他: "CD4^+ T cells require adhesion via LFA-1/ICAM-1 to induce target apoptosis in TNF-independent pathway." Cell.Immunol.156. 135-145 (1994)

[Publications] Okazaki S.,他: "Biological response modifier (BRM) as an antigen.III.T-cell lines specific for BRM kill tumor cells in a BRM-specific manner." Cancer Immunol.Immunother.(in press).

[Publications] Suda T.,他: "Expression of the Fas ligand in cells of T-cell-lineage." J.Immunol.(in press).

[Publications] 尾崎承一・他: "T細胞ワクシネーション・ペプチド療法" 内科. 73. 715-717 (1994)

[Publications] 大村浩一郎・他: "膠原病に対する特殊免疫学的治療" 総合臨床. 43. 1098-1101 (1994)

[Publications] 尾崎承一: "自己免疫疾患-T細胞レセプター" Biotherapy. 8. 818-825 (1994)

[Publications] Ozaki S.(共著): "Cellular Immunology Labfax" Delves P.J.・編 BIOS Scientific Publishers(Oxford), 259 (1994)

[Publications] 尾崎承一(共著): "NEWメディカルサイエンス:自己免疫疾患" 山本一彦・編 羊土社(東京), 172 (1994)

尾崎承一京都大学, 医学部, 講師 (00231233)

[Publications] 尾崎承一(共著): "NEWメディカルサイエンス:自己免疫疾患" 山本一彦・編羊土社(東京), 172 (1994)