1994 Fiscal Year Annual Research Report
細胞成長自動測定システムを用いた糸状菌に対する抗真菌剤感受性試験法の検討
Project/Area Number |
06807026
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
田口 英昭 千葉大学, 真核微生物研究センター, 助手 (70092070)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 和子 千葉大学, 真核微生物研究センター, 教授 (00114314)
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Keywords | Aspergillus fumigatus / BioCell-Tracer / Single hypha / miconazole |
Research Abstract |
細胞成長自動測定システム(BioCell-Tracer装置)は単一菌糸の先端を追跡し、その成長速度を測定可能にした装置である。同装置を用いAspergillus fumigatus(A.fumigatsu)単一菌糸の成長速度を測定しmiconazole(MCZ)の薬剤効果を検討した。その結果、薬剤濃度0.8(1/4 MIC)から6.25μg/ml(2 MIC)では約1時間で菌糸成長抑制を認めた。また、12.5(4 MIC)から100μg/mlでは20分以内に各々成長抑制を認めた。更に、菌糸先端の形態変化でも各薬剤濃度で異なり、0.8-1.6μg/mlでは徐々に成長を中止して菌糸先端は棍棒状になり、3.2-25μg/mlでは先端で異常な短分岐が観察された。次にMCZを7.6μg/ml含む患者血清(液体クロマトグラフで全MCZ量を測定、しかしMCZは血清タンパク質と約95%が結合するため、薬剤効果を示しうるMCZは0.38μg/mlとなる)で効果検討をした結果、菌糸は約90分後に成長抑制を示し、その後同血清を取り除き菌糸を薬剤無添加培地で洗浄し、新しい薬剤無添加培地で約1時間培養を行ったがこの間での菌糸成長の回復は認めなかった。この結果は合成培地での0.4μg/mlの結果と類似していた。しかし、MCZを1.1μg/ml含む患者血清(薬剤効果を示すMCZ濃度は0.055μg/ml)で効果検討をしたが菌糸の成長抑制は認められなかった。即ち、本試験法は菌糸に対するMCZの直接的な薬剤併用効果を経時的および形態学的に検討することが可能であることを示唆すると共に、MCZの投与を受けている患者血清もまたA.fumigatusの菌糸の成長を十分抑制することが認められた。 今後、各種抗真菌剤の組合せを考慮し、有効性を検討することによりA.fumigatusに対する薬剤感受性試験法を確立し、効果的な薬剤の組合せによる併用療法についても方向性を示すことが出来る。さらに、本法は薬剤投与されている患者血清中に存在する薬剤効果の検討も可能と思われた。
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