1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06807027
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
安田 陽子 名古屋市立大学, 医学部, 助教授 (70080009)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小塚 諭 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (40117817)
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Keywords | 経口ワクチン / コレラ毒素Bサブユニット / 粘膜アジュバント / 組換え百日咳ワクチン |
Research Abstract |
WHOの2,000年に向けた健康政策の目標の1つに「小児の拡大予防接種計画」がある。発展途上国においては依然として種々の感染症による小児の死亡率が高い現状に鑑み、より簡便なワクチン接種法の開発が急がれる。その目的には経口ワクチンは従来の注射ワクチンに比較して優れており、有効な経口ワクチンの大量生産が急務であろう。 当研究室では、粘膜免疫アジュバンドとして有名なコレラ毒素Bサブユニット(CTB、無毒)の高分泌生産にBacillus brevis(鵜高株)の宿主・ベクター系を用いて成功した。この組換えCTBをアジュバンドとした各種病原体に対する粘膜ワクチン開発をめざしている。その1つとして本研究では百日咳ワクチンを取り上げ、以下の研究を実施した。 1.百日咳コンポーネントワクチンとしての百日咳毒素成分Bオリゴマー(S2〜S5サブユニットからなる無毒成分、気道粘膜上皮細胞結合性)の組換え体の作製:各サブユニット組換え体をB.brevis(鵜高株)で産生を試みたところ、S2で高分泌(70mg/l)に成功したが、他のサブユニットでは分泌量が少なく、現在、改良継続中である。また、S2+CTBの経口投与実験を計画している。 2.現行注射法「百日咳ワクチン」を経口投与する実験:マウス(BALB/c系)にアジュバンドとして組換えCTBと共に市販ワクチンを経口投与して、免疫応答を調べた。ELISA抗体価を測定した結果、百日咳毒素に対する血清IgG、腸管IgA、肺・気道IgAの上昇と、繊維状赤血球凝集素に対する血清IgG、腸管IgAの上昇が認められた。組換えCTBを粘膜アジュバンドとする既存ワクチンの経口投与法で全身性と局所性の抗体産生が促される事実は、経口ワクチンによる百日咳予防の可能性を示唆した。
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