1994 Fiscal Year Annual Research Report
乳幼児突然死症候群(SIDS)の発症機序の解明-肺神経内分泌細胞分布を中心として-
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06807041
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
三澤 章吾 筑波大学, 社会医学系, 教授 (50086534)
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Keywords | 乳幼児突然死症候群 / SIDS / 肺神経内分泌細胞 / PNEC / クロモグラニンA / カルシトニン |
Research Abstract |
行政解剖の結果、SIDS(乳幼児突然死症候群)と考えられた8例(生後3〜11カ月、男5例、女3例)と、当施設および他施設での他疾患で死亡した乳児剖検例(0〜6カ月、男6例、女1例)を対象として両群を比較検討した。 検体はホルマリン固定、パラフィン包埋された肺切片標本で、これを酵素抗体法(ABC法)により染色し、PNECを抽出した。一次抗体には抗カルシトニン多クローン性抗体、抗Gastrin Releasing Peptide(GRP)多クローン性抗体および抗セロトニン単クローン性抗体(いずれもDAKO社製)を用いた。 肺神経内分泌細胞(PNEC)は終末細気管支から呼吸細気管支領域に分布し、特にカルシトニン陽性細胞がSIDS群全体(特に6カ月以内)で著明に認められた。このことからSIDS児ではカルシトニン産生PNECが多く残存する可能性が示唆された。 これに対し肺疾患のない新生児では陽性率が高いが、2カ月では減弱しており、PNECが生後速かに減少することが裏付けられた。 GRP(抗Gastrin Releasing Peptide)、セロトニンに比べてカルシトニンは陽性率が著明に高く、PNECを抽出するには最適であることも明らかにした。 なお、これまでの成績からは気道閉塞とカルシトニン陽性細胞の量との間に明らかな相関を見い出しえなかった。 これまでの実験方法ではPNEC陽性細胞の陽性率をどのように客観的に評価するか、その方法、SIDSに対する対照群の設定と、これらの対照疾患による肺への影響などをさらに検討する必要を感じている。
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Research Products
(1 results)