スーパー抗原によるヒトT細胞末梢血リンパ球の異種動物内での免疫学的寛容の誘導

1994 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 06807046
• Research Institution: Nagasaki University
• Principal Investigator: 河部 庸次郎 長崎大学, 医学部, 助手 (50244059)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 江口 勝美 長崎大学, 医学部, 助教授 (30128160)
• Keywords: T細胞 / スーパー抗原 / 免疫学的寛容 / 細胞接着 / 細胞移行 / ヒトーマウスキメラ

Research Abstract

マウス末梢血において、SEB(Staphylococcal enterotoxin B)反応性T細胞であるVβ8T細胞は、SEB投与後1日目に減少していた。一方、Vβ6T細胞は不変あるいはやや増加していた。このVβ8T細胞の末梢血よりの減少はSEB投与後2時間という比較的早期に認められる事が判明した。このVβ8T細胞の末梢血よりの減少は、SEBによるT細胞レセプターのdown regulationによるものでもなく、また、apoptosisによるものでもなかった。種々の臓器(脾、リンパ節、腹腔内)への移行の有無を調べたが、Vβ8T細胞の有意な増加を示す所見は見あたらなかった。そこで、血管内に細胞の接着をはがす為のトリプシンEDTA液を注入後末梢血を採取した所、Vβ8T細胞は増加した。つまり、この事はSEB反応性T細胞であるVβ8T細胞が、SEB投与後血管壁に特異的に付着した事を示唆するものである。これらの事実はin vitroにおける血管内皮細胞へのT細胞の接着の有無においても確認された。一方、ヒトT細胞により再構築されたSCIDマウス脾細胞のSEBに対する反応性は、マウスと異なり一定ではなく、SEB反応性ヒトT細胞であるVβ3T細胞の増加あるいは減少は認められなかった。さらにin vitroにおいても明らかなトレランス誘導はできなかった。これらの点に関しては一定のデータを得べく、現在詳細に検討を行っている最中である。

Research Products

• [Publications] T.Origuchi: "Synovial cells are potent antigen-presenting cels for superantigen,staphylecocoal enterotoxin B(SEB)" Clin Exp.Immunol. in press.
• [Publications] K.Migita: "Prevention of anti-CD3 monoclonal antibody-induced thymic apoptosis by protein tyrosine kinase inhibitors" J.Immunol. 153. 3457-3465 (1994)
• [Publications] S.Shimada: "Inteleukin 4 increases human synovial cell expression of VCAM-1 and T cell binding" Ann Rheum Dis. 53. 601-607 (1994)
• [Publications] 河部庸次郎: "スーパー抗原投与による実験的脳脊髄炎の増悪" 臨床免疫. 26. 1385-1390 (1994)