1995 Fiscal Year Annual Research Report
肝癌患者血中における抗核抗体の臨床的意義の検討とその対応抗原の細胞生物学的解析
Project/Area Number |
06807050
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
袖山 健 信州大学, 医学部, 助教授 (00163139)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清澤 研道 信州大学, 医学部, 教授 (30020829)
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Keywords | 肝癌 / 抗核抗体 / 細胞生物学 / 自己抗原 |
Research Abstract |
慢性肝疾患から肝癌と診断された1症例において,肝癌診断時期と関連して患者血清中の抗核小体抗体が陽性化し,その抗体価の上昇を認めたものがあった.蛍光抗体法では核小体に一致した塊状型を呈し,ウエスタンブロット解析では120キロダルトンのバンドを認めた.ウエスタンブロットを用いたアフィニティー抗体法により120キロダルトン蛋白に反応する抗体を精製し,蛍光抗体法を行ったところ,塊状型核小体の染色像がみられた.アクチノマイシンDによって核小体を三つのコンポーネントに分離した細胞基質を用いて蛍光抗体法を行った結果,前出の患者血清が認識する抗原は抗フィブリラリン抗体の対応抗原と同一のコンポーネントに存在することが明らかとなった.よって,患者血清中の抗体は120キロダルトンの核小体線維状成分を認識することが推測された.核小体線維状成分はリボゾームRNA遺伝子から転写されたnascentRNAが最初にプロセッシングを受ける場所であるが,この部位に存在する120キロダルトン蛋白の報告は未だ無く,分子レベルでの解析に興味が持たれる.現在,本抗体を含む患者血清を用いて,cDNA expression libraryのimmunoscreeningを施行中である.肝癌の自己抗原と慢性肝疾患の自己抗原との違いを検討するため,肝癌と診断される以前の慢性肝疾患患者血清を用いてウエスタンブロット解析を行ったところC型慢性肝疾患3例に200キロダルトンの共通するバンドを認めた.MOLT-4細胞抽出液を用いてパパイン消化も行った結果,非筋細胞に存在するミオシンマイクロフィラメントのH鎖であることが証明された.自己抗体のスペクトラムとしては肝癌の無い慢性肝疾患に比し肝癌に核小体抗原が多く認められる傾向があったが,ウエスタン解析の結果では肝癌に共通するバンドはみられなかった.
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Research Products
(1 results)