1995 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー病のGTP結合蛋白遺伝子異常とフリーラジカル除去機能
Project/Area Number |
06807056
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
下村 登規夫 鳥取大学, 医学部, 助教授 (00216136)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦上 克哉 鳥取大学, 医学部, 講師 (30213507)
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Keywords | スーパーオキシドデイスムターゼ / 細胞内カルシウム / 神経伝達物質 / 点変異 / エクソン8 / エクソン9 / Gsa |
Research Abstract |
アルツハイマー型老年痴呆患者および脳血管性痴呆患者を対象として,セロトニン刺激による血小板内カルシウムイオンの変動について検討し,細胞内情報伝達機構についての検討を行った.また,GTP結合蛋白(G蛋白)のexon 8およびexon 9について点突然変異を中心とする遺伝子変異の有無について検討した.exon 8およびexon 9の遺伝子変異の有無の検討にはsingle-strand conformation polymorphism(SSCP)解析を用いた. セロトニン刺激による血小板細胞内カルシウム濃度の変動を検討したところ,アルツハイマー型老年痴呆患者では健常対照者に比して有意ではないが,細胞内カルシウム濃度の変動量が減少しており,神経伝達物質に対する細胞の反応性が減少している可能性が示唆された.同時に検索した脊髄小脳変性症患者では健常対照者に比して有意に細胞内カルシウム変動量が減少しており,脊髄小脳変性症患者では神経伝達物質に対する細胞の反応性の減少,細胞内情報伝達機構の障害が存在する可能性が考えられた.アルツハイマー型老年痴呆患者においても脊髄小脳変性症患者ほど強い障害ではないが細胞内情報伝達機構に何らかの障害を有する可能性が示唆された.G蛋白についての検討では,exon 8についてのSSCPによる検討で点変異の存在の可能性が示唆されたが,その後の直接塩基配列決定法では点突然変異の存在は否定された.さらに本年度はexon 9についても同様の解析を行ったが,今回検索したアルツハイマー型老年痴呆患者30例にも脳血管障害性痴呆患者20例にもG蛋白のexon 8およびexon 9における遺伝子変異は認められなかった. アルツハイマー病患者における細胞内情報伝達機構の障害はG蛋白のexon 8またはexon 9の遺伝子変異による可能性は少ないが,その他の部位の障害による可能性も示唆され,今後さらに検討する必要があるものと考えられた.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Urakami,K: "Cu,Zn superoxide dismutase in patients with dementia of the Alzheimer type" Acta Neurol Scand. 91. 165-168 (1995)
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[Publications] 下村登規夫: "片頭痛患者および緊張型片頭痛患者における末梢血単核球c-fos mRNAの検討ならびに片頭痛におけるミトコンドリアDNA異常" 頭痛研究会会誌. 22. 111-113 (1995)
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[Publications] 下村登規夫: "頭痛の発症機序" 神経治療. 12. 253-259 (1995)
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[Publications] 下村登規夫: "頭痛の分子生物学" SCOPE. 34. 20-21 (1995)
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[Publications] 下村登規夫: "剖検脳材料からの遺伝子診断-パラフィン切片からの診断" 医学のあゆみ. 176. 490-491 (1996)
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[Publications] 下村登規夫: "片頭痛の病態と発症機序" 神経内科. (印刷中). (1996)