1994 Fiscal Year Annual Research Report
自己免疫性甲状腺疾患におけるインターロイキンの役割に関する研究
Project/Area Number |
06807084
|
Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
広岡 良文 愛知医科大学, 医学部, 教授 (90126821)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
満間 照典 愛知医科大学, 医学部, 教授 (00111857)
|
Keywords | インターロイキン / 自己免疫性甲状腺疾患 / 末梢血単核球 / 細胞培養 / 培養上清 / ラジオイムノアッセイ / 免疫調節機構 / 細胞間情報伝達物質 |
Research Abstract |
自己免疫性甲状腺疾患における細胞性免疫異常を明らかにする目的で、免疫調節機構における中心的役割を果たしている細胞間情報伝達物質特にインターロイキン(IL)の作用、産生につき検討を加え以下の結果を得た. まず、ILの測定系の開発を行うため、IL-1,2,4,6,8に対する自家ポリクロナール抗体を家兎にて作成し、各ILに極めて特異性の高い抗体を得たことより、それぞれのRadioimmunoassay系を確立し、ILの測定に供した。次に、自己免疫性甲状腺疾患患者の末梢血単核球のIL産生を治療前、治療後で比較した。自己免疫性甲状腺疾患患者末梢血リンパ球、単球のIL-1産生は、正常者に比し、未治療時に亢進がみられたが、治療後は正常者と同等の産生能を示すことが認められた。IL-2の産生は、未治療時には正常者に比し有意の低下がみられたが、治療後は正常者のレベルに戻る傾向を認めた。IL-4,6,8の産生は、未治療時には正常者に比し亢進がみられたが、治療により低下した。一方、未治療時の自己免疫性甲状腺疾患患者の末梢血リンパ球、単球はILに対する反応性が低下しているが、治療により回復し可逆性の変化であった。さらにIL-4はin vitroでIL-1,6,8の産生を抑制した。最近、甲状腺組織におけるIL-6の存在がmRNAレベルでみられたが、我々は正常甲状腺のみならず自己免疫性甲状腺疾患患者の甲状腺においてもIL-6の産生を認め、さらにIL-6はTSH刺激に反応して放出されることも認めた。 以上、自己免疫性甲状腺疾患における細胞性免疫の中で細胞間情報伝達物質のインターロイキンは作用、産生のいずれにおいても、未治療状態での異常が認められ、ILのcascade、IL間でのinteraction等を考慮すると、ILは自己免疫性甲状腺疾患の状態、治療の上で重要な役割を担っていること、また、ILの測定は臨床病態把握に有用と考えられた。
|