1995 Fiscal Year Annual Research Report
Rh式血液型抗原の生理機能の解明 -輸送系としてのD抗原の役割-
Project/Area Number |
06807089
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Research Institution | YAMAGUCHI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
吉田 久博 山口大学, 医学部・附属病院, 助教授 (30135587)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神谷 晃 山口大学, 医学部・附属病院, 教授 (90124792)
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Keywords | 赤血球ゴ-スト / Rh式血液型抗原 / 薬物輸送系 / D抗原 |
Research Abstract |
赤血球膜に存在するRh抗原系への生理的機能を解明するため、有機アニオン輸送系、有機カチオン輸送系、およびジペプチド輸送系へのD抗原の寄与について、赤血球膜小胞(以下、RBCゴ-スト)を用いて検討した。なお、各輸送系のモデル薬物としてパラアミノ馬尿酸、テトラエチルアンモニウム、グルシルザルコシンを使用した。 1)パラアミノ馬尿酸(PAH) PAHは酸性薬物であることから、pH分配により内向きのプロトン勾配を与えた時にゴ-スト内への取り込み量が増大すること、有機アニオン輸送系阻害剤の共存によりわずかに阻害されることを認めた。しかし、NA^+-K^+勾配、PAH濃度の影響、抗D抗体ならびにRh表現型による影響が観察されていないことから、D抗原のPAH輸送系への寄与は極めて低いものと推察された。 2)テトラエチルアンモニウム(TEA) RBCゴ-スト内へのTEAの移行に、プロトン勾配、NA^+-K^+勾配、TEA濃度の影響、他の塩基性薬物共存による阻害効果は観察されなかった。またTEA取り込みに及ぼす抗D抗体の影響ならびにRh表現型の影響も認められないことから、TEA取り込みへのD抗原の関与は皆無と判断された。 3)グリシルザルコシン(Gly-Sar) Gly-SarのRBCゴ-スト内への移行性は、外向きのプロトン勾配を与えた時に取り込み増加を認めたが、NA^+-K^+勾配およびCl^-の影響は観察されなかった。またGly-Sar濃度の影響ならびにプチド輸送系薬物による阻害効果は観察されなかった。抗D抗体の影響ならびにRh表現型の影響についても変化が見られなかった。したがって、D抗原のGly-Sar輸送系への関与は極めて低いものと考えられた。
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