1995 Fiscal Year Annual Research Report
腎間質尿細管病変モデルにおける尿細管間質細胞増殖の免疫組織化学的検討
Project/Area Number |
06807093
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
土肥 和紘 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (20142375)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 謙裕 奈良県立医科大学, 医学部, 助教授 (60156833)
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Keywords | deoxycorticosterone acetate / DOCA食塩高血圧ラット / 尿細管・間質細胞 / 過形成 / BrdU / PCNA |
Research Abstract |
目的:前年度の低カリウム血症性腎症における検討では、同腎症に尿細管・間質細胞の肥大・過形成が存在することを報告した。今年度は、尿細管・間質細胞の肥大・過形成が報告されているdeoxycorticosterone acelate(DOCA)食塩高血圧ラットについて、免疫組織化学的検討を加えた。材料と方法:8週齢の雄Wistarラット30匹を用いた。DOCA食塩高血圧ラットは、1mgのDOCAを0.5mlのゴマ油に溶解し、2週間連日皮下注して作製した(DOCA群、16匹)。同量のゴマ油を皮下注したものを対照群(14匹)とした。両群とも飲水に1%食塩水を用いた。DOCA投与開始前と開始後4週および8週に体重と血圧を測定した。4週および8週に15匹づつ屠殺し、皮質尿細管上皮と間質細胞のBrdUとPCNA陽性細胞を観察した。腎重量は、左腎重量(g)/体重(g)で評価した。結果:体重は、DOCA群と対照群に差がなかった。血圧は、4週でDOCA群が137±5mHg、対照群が115±3mHg、8週でDOCA群が137±18mHg、対照群が109±3mHgであり、DOCA群が対照群に比して有意に上昇していた。腎重量は、4週でDOCA群が0.69、対照群が0.64、8週でDOCA群が0.58、対照群が0.60であり、両群間に差がなかった。DOCA群の尿細管上皮および間質細胞は、光顕的に有意の肥大と過形成を示さなかった。皮質尿細管細胞でのBrdUのlabeling index(L1)は、4週でDOCA群が2.8±0.7、対照群が2.0±0.5、8週でDOCA群が3.8±1.3、対照群が2.6±0.8であり、DOCA群が対照群に比して大の傾向を示したにすぎなかった。PCNAのL1は、4週でDOCA群が0.6±0.2、対照群が0.6±0.1、8週でDOCA群が1.8±0.3、対照群が1.3±0.8であり、両群間に差がなかった。間質細胞のBrdUおよびPCNA陽性細胞も、両群間に差がなかった。結論:DOCA食塩高血圧ラットでは、従来から報告されている有意の尿細管・間質細胞の過形成は認められない。
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