1994 Fiscal Year Annual Research Report
インターロイキン12を用いた新しい抗癌免疫療法確立の為の基礎的研究
Project/Area Number |
06807102
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
椎葉 健一 東北大学, 医学部・附属病院, 講師 (90196345)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
力石 秀実 東北大学, 歯学部, 助手 (70091767)
熊谷 勝男 東北大学, 歯学部, 教授 (00005018)
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Keywords | インターロイキン12 / CD3 intermediate T細胞 / 肝NK細胞 / マウス実験転移モデル / 細胞障害活性 / 転移抑制効果 |
Research Abstract |
(目的)マウスインターロイキン12(mlL-12)が抗腫瘍および抗転移作用のあることが最近報告されている。我々は、マウスのいくつかの肺または肝臓への実験転移モデルを用いて、invivoに於けるmlL-12の転移抑制効果について検討した。また、その転移抑制の作用機序やエフェクター細胞について解析した。 (結果)1.mlL-12の投与により肺転移および肝転移・腎転移とも90%以上の転移抑制効果を認めた。ヌードマウスを用いた系でも同様の転移抑制効果が得られた。2.mlL-12の腹腔内投与により、肝臓においてリンパ球の刺激増殖が見られた。これに伴い、細胞障害活性の増強と、CD3intermediateT細胞(TNK細胞)のNK1.1およびCD2の発現増強が認められた。肝臓の細胞障害活性を示すリンパ球は、抗体補体処理実験およびSorting実験により主にCD3intermediate NK1.1brightのリンパ球であることが明らかとなった。ヌードマウスを用いた系においても肝臓の単核球に強い細胞障害活性の誘導と同様のPhenotypeの変化がみられた。3.mlL-12を投与したマウスの脾臓および肝臓から分離したリンパ球を、肺転移腫瘍である3LLを投与したマウスに、adoptivetransferし、転移抑制効果を検討したところ、肝のリンパ球を移入したマウスでは、mlL-12投与群とほぼ同等な転移抑制効果を示した。これに対し、脾臓のリンパ球を移入した3LL投与マウスでは、転移抑制効果は全く認められなかった。以上の結果は、invivoでのmlL-12投与が胸腺外文化するとされている肝臓のCD3intermediateT細胞を特異的に活性化し、細胞障害活性を誘導していることを示唆している。また、この活性化TNK細胞が他臓器へ移行し、そこで腫瘍細胞を直接障害している可能性が示された。
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