1995 Fiscal Year Annual Research Report
くも膜下出血後の交通性水頭症における髄液内TGF-β1の意義
Project/Area Number |
06807111
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Research Institution | SHINSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
多田 剛 信州大学, 医学部・脳神経外科, 講師 (00236530)
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Keywords | TGF-β1 / 水頭症 / くも膜下出血 / 脳脊髄液 |
Research Abstract |
研究の背景 くも膜下出血はしばしば交通性水頭症を誘発する。わたしたちはヒト型recombinant(hr)TGF-β1をマウスの髄腔内に注入することによって、交通性水等症が誘導できることを発見した。 研究目的 今年度はhrTGF-β1のかわりに、くも膜下出血により近い形でTGF-β1を含んでいる同種マウスの血清を髄腔内注射することによって、交通性水頭症が誘導できるか否かについて検討した。 方法 マウスの血清と血漿および濃度を変えたhrTGF-β1を生後10日目のC57BL/6マウスの頭部に注射し、脳室と脳の各横径を1,3,6,12週で測定した。マウスの血清と血漿中のTGF-β1の分子量はwestern blot法にて測定した。誘導した水頭症の髄液の交通性は色素の注入にて確認した。 結果 水頭症を引き起こす最低限のhrTGF-β1量は一匹あたり0.6ngだった。血漿では水頭症は誘導されなかったのに対して、同容量の血清では水頭症を誘導することができた。血清やhrTGF-β1で誘導された水頭症では脳表に注入した色素が側脳室内に逆流することが確認された。血清注入による交通性水等症の形成はヒト型抗TGF-β1抗体の髄腔内注入によって阻止することができた。western blot法ではマウスの血清中に25kdの活性型TGF-β1を確認したが、血漿中には認めなかった。 結論 この研究によって、くも膜下出血後の髄液中に存在する活性型TGF-β1がくも膜下出血後の交通性水頭症の発生に寄与している可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)