1994 Fiscal Year Annual Research Report
精巣腫瘍におけるアルファフェトプロテインの臨床的意義の再評価
Project/Area Number |
06807127
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
上野 宗久 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (60167286)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
出口 修宏 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (90118977)
中村 薫 慶応義塾大学, 医学部, 講師 (10146673)
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Keywords | 精巣腫瘍 / 卵黄嚢腫瘍 / アルファフェトプロテイン |
Research Abstract |
平成6年度に得られた実験結果を研究計画書(新規)に記載した実験方法の順に報告する。 1.腫瘍の病理組織像: KU-MT細胞がヌードマウス皮下にて形成した腫瘍はHE染色では比較的未分化な細胞が優位である中に管状構造を示すものが散見され、免疫染色でも抗AFP抗体に染色された。更に、電子顕微鏡的にも細胞外に基底膜様物質の沈着が描出されKU-MTが卵黄嚢腫瘍により構成されていることが示唆された。 2.ヌードマウスにおける腫瘍の増殖性: 腫瘍重量とマウス血清中のAFP濃度は相関係数r=0.944と正の相関を示し、腫瘍をホモジュナイズして腫瘍中のAFP総含有量を測定したところ、腫瘍重量に対してr=0.921と高い相関が得られた。 3.in vitroにおけるKU-MT細胞の増殖およびAFP産生: KU-MTは倍加時間48時間にて指数関数的に増殖し、6日目にconfluencyに達した。また、AFPは培養液上清中にて3日目より検出可能で9日目で約400ng/mlとplateauになった。 4.細胞表面マーカー: 各種抗体を用いて免疫染色およびフローサイトメトリー法(FCM)を施行したところ、同細胞はSSEA1,3,4と2D7,6E2(胎児性癌)および2A2,2G10(卵黄嚢腫瘍)に染色され、特に、2A2と2G10は各々37%と73%の陽性細胞を認めた。更に、2D7と6E2についても約10〜30%の陽性率が得られた。 5.KU-MTの染色体分析: トリプシンGバンド法により10細胞分析の結果、染色体数は55〜58に分布しており、染色体数57にモードを認めた。同時に9種のマーカー染色体を認めた。 6.レチノイン酸(RA)の細胞増殖およびAFP産生に与える影響: in vitroにおいてRAは濃度(≧10^<-9>M)に比例してKU-MT細胞の増殖を抑制するとともにAFPの産生を増加させた。また、細胞のBrdUの取り込み率を抑制することからRAが細胞周期にてS期にあたる細胞を減少させることが示唆された。
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