1994 Fiscal Year Annual Research Report
不斉配位子を含まない光学活性遷移金属錯体の新規合成法の開発
Project/Area Number |
06807162
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
笹井 宏明 東京大学, 薬学部, 助教授 (90205831)
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Keywords | ガドリニウム / 光学活性遷移金属錯体 / ビフェノール錯体 |
Research Abstract |
光学活性遷移金属錯体は通常不斉配位子を有する。しかし下図のように、二座の配位子に不斉点を持たなくても、中心金属は不斉環境になり得ることが知られている。このタイプの錯体は高価な不斉配位子を必要としない不斉触媒として期待がもたれる。本年度は、下記のタイプの錯体調整法として、触媒量の不斉源存在下での錯体の自己組織化と、磁場による不斉環境の制御を検討した。配位子としてビフェノールを選択して塩化ガドリニウムとの反応を磁場中で行って錯体を調製した。この錯体は僅かながら旋光性を示したので、この錯体を触媒として不斉ニトロアルドール反応を行ったが、光学活性な成績体を得ることはできなかった。その後の検討では、配位子交換が非常に速いことが示唆されており、更なる検討が必要と思われる。本ガドリニウム-ビフェノール錯体は、結晶として取り出すことに成功したため、現在X線結晶構造解析の準備を進めている。
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