1994 Fiscal Year Annual Research Report
ホスホリパーゼA_2を模倣した触媒抗体の作成とその作用メカニズムの解明
Project/Area Number |
06807165
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
春名 光昌 名城大学, 薬学部, 助教授 (10076755)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 一男 名城大学, 薬学部, 教授 (00076697)
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Keywords | catalytic antibody / 触媒抗体 / ホスホリパーゼA_2 / 抗体酵素 / 人工酵素 / 人工蛋白 / 抗体工学 / リン脂質 |
Research Abstract |
ホスホリパーゼA_2様の触媒抗体作成にあたり、エステル加水分解反応の遷移状態構造であるリン酸エステルを有し、C1およびC2位にC10の炭素鎖を有するハプテンより作成した50種の単クローン抗体産成ハイブリドーマ細胞のうちELISA法にて強い分子認識を示す21種についてPLA_2様加水分解活性について検討してきたが、満足できるものではなかった。そこで、分子認識力の弱い20種のハイブリドーマ細胞を大量培養し、単クローン抗体(IgG)を精製後、C1およびC2位にC10単位の炭素鎖を有するリン脂質(C1/C2=10/10)を用いその触媒活性を検討したところ、前に得た単クローン抗体に比較して約2.5倍の反応速度(Vmax2.195μM/min)を示す数種の触媒抗体(3C2,7B1,7B3,7C1,7C3,7C6等)を得ることが出来た。これらの加水分解触媒活性と基質分子認識の構造相関については、5種のリン脂質およびその誘導体を合成し、各々を基質として各抗体の触媒活性を検討したところ、C1/C2=16/16およびC1/C2=10/16を有するリン脂質は、いずれも反応性が観察されなかった。また、C1/C2=16/10を有するリン脂質についても、時間の経過とともにわずかに加水分解が進行しているに過ぎないことが判明した。次にコリン部のトリメチルアンモニウムについては、充分に加水分解反応が観察されたC1/C2=10/10のりん脂質の合成中間体であるBr体を用いて検討したところ約1/2の触媒活性が観察された。以上の実験データを総合すると、C1およびC2がC10単位のハプテンより作成したホスホリパーゼA_2様の触媒抗体は、エステル加水分解反応の遷移状態構造であるリン酸エステル部のみではなく、C1およびC2位の炭素鎖の長さを厳密に分子確認しており、またコリンのアンモニウムにおいては比較的柔軟性のある分子認識をしていることが明らかとなった。
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