1995 Fiscal Year Annual Research Report
ホスホリパーゼA_2を模倣した触媒抗体の作成とその作用メカニズムの解明
Project/Area Number |
06807165
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Research Institution | MEIJO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
春名 光昌 名城大学, 薬学部, 助教授 (10076755)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 一男 名城大学, 薬学部, 教授 (00076697)
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Keywords | catalytic antibody / 触媒抗体 / ホスホリパーゼA_2 / 抗体酵素 / 人工酵素 / 人工蛋白 / 抗体工学 / リン脂質 |
Research Abstract |
本年度は以下の項目について検討した。 1.触媒抗体の基質の光学異性体に対する加水分解反応の選択性-触媒抗体7B3(Km=347μM,Vmax=2.52μM/min,kcat=0.126min^<-1>,Ki=449μM)を用い、合成により得た基質の光学異性体に対する加水分解反応の選択性ついて検討したところ、特異的なL-体の分子認識を厳密に行い加水分解反応が進行している事が明らかとなった。 2.C16の炭素鎖を有するハプテンより単クローン抗体の作成および抗体の分子認識-生体膜に近似のC16の炭素鎖を有するハプテンを合成し、昨年と同様の操作により26種の単クローン抗体を作成した。C16の炭素鎖を有する基質を用い各抗体の反応性を検討したがいずれの抗体も触媒活性を示めさない事より、C10の炭素鎖を有する基質を用いてそれらの反応性を検討したところ、ELISAにて比較的弱い陽性を示す11種の抗体に触媒活性が見られた。この内より高い活性を有する3種を用い、炭素数の異なる基質(C12およびC14)に対する反応性を検討したところ、基質の炭素数が増加するに従い加水分解反応の触媒活性が減少する事が明らかとなった。また、C12あるいはC14の炭素鎖を有する基質共存下C10の基質の反応性を検討したところ、C10の基質単独使用時に比較していずれの場合も同程度の活性の低下が観察された。この事より抗体の分子認識がグリセロール3位のホスホリンコリン→2位のリン酸部→2および1位の炭素鎖の順に起こるものと考えられる。 3.触媒抗体の基質によって形成される二重膜および多重膜小胞に対する反応性-基質によって形成される種々のリボゾームにおける反応性の比較により、触媒抗体は二重膜構造を有するリン脂質よりも単分子状態のものを認識し加水分解反応を触媒している事が明らかとなった。
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Research Products
(1 results)