1994 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮細胞におけるチロシン・キナーゼを介したCa流入機構解明に関する研究
Project/Area Number |
06807168
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
久山 哲廣 徳島大学, 薬学部, 助教授 (70130383)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀尾 修平 徳島大学, 薬学部, 助手 (80145010)
守時 英喜 徳島大学, 薬学部, 教授 (10035545)
|
Keywords | 血管内皮 / チロシン・キナーゼ / カルシウムイオン / 血管平滑筋 / 小胞体 / 酵素誘導 / 一酸化窒素 |
Research Abstract |
1.血管内皮及び平滑筋におけるNO産生に関与するチロシン・キナーゼ群に関する研究 報告者は血管内皮細胞におけるNO産生の引き金となる細胞外Ca流入のメカニズムにチロシン・キナーゼが関与することを他に先駆けて発見・報告し(Jpn.J.Pharmacol.67:181-183,1995),このキナーゼの基質を明らかにしようとしていたが,研究遂行中に,血管平滑筋細胞におけるエンドトキシンによるNO合成酵素の誘導にもチロシン・キナーゼが関与していることを見い出した。もし,両者のチロシン・キナーゼが同一のものであるとすれば,内皮細胞よりも平滑筋細胞の方が大量に採取・培養することができ,今後の研究遂行が進めやすいと考え,比較検討を行った。その結果,内皮と平滑筋においてNO産生に関与するチロシン・キナーゼは相異なるものであることを世界で初めて明らかにすることができた(投稿準備中)。 2.血管内皮及び平滑筋におけるNO産生に関与するチロシン・キナーゼ基質に関する研究 ヒト臍帯静脈内皮及びラット大動脈平滑筋の培養細胞を用い,各種刺激によって蛋白のチロシン残基のリン酸化が起こるかどうかをWestern blot法を用いて検討した。NO合成酵素の誘導を引き起こすエンドトキシン添加により,培養平滑筋細胞において幾つかの蛋白バンドがチロシン・リン酸化されることを認めた。現在,どのチロシン・リン酸化される蛋白がNO合成酵素の誘導に関与しているかを,エンドトキシンの濃度依存性,チロシン・キナーゼ阻害薬に対する感受性などを検討することにより同定しようと試みている。一方,内皮を用いた実験においても,内皮細胞において選択的にCa流入を引き起こすシクロピアゾン酸添加により,多くの蛋白がチロシン・リン酸化されることを見い出しており,平滑筋の場合と同様なstrategyで検討を進めている。 3.なお,内皮を介したNO産生に関係する生理反応(内皮細胞へのCa取り込み,内皮により産生されたNOによるcGMP産生,等)に及ぼすチロシン・キナーゼ阻害薬の効果についても現在検討中である。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] Hisayama,T.: "Tyrosine kinase may participate in Ca^<2+> entry for endothelial nitric oxide production." Japanese J.Pharmacol.67. 181-183 (1995)
-
[Publications] Moritoki,H.: "Thapsigargin,Ca^<2+>-ATPase inhibitor,relaxes rat aorta via nitric oxide formation." Life Sci.54. PL153-PL158 (1994)
-
[Publications] Moritoki,H.: "The Ca^<2+>-ATPase inhibitor cyclopiazonic acid induces relaxation of rat thoracic aorta possibly through nitric oxide formation." British J.Pharmacol.111. 655-662 (1994)
-
[Publications] Moritoki,H.: "Role of endotoxin in L-arginine-induced relaxation of rat thoracic aorta mediated by muscle-derived nitric oxide." Arch.international Pharmacodyn.327. 152-165 (1994)