1995 Fiscal Year Annual Research Report
トランスジェニックマウス及び細胞系を用いたB型肝炎ウイルスのアンチセンス療法開発
Project/Area Number |
06807169
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
松倉 誠 熊本大学, 医学部, 助手 (70238997)
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Keywords | トランスジェニックマウス / HBx遺伝子 / アンチセンスDNA / 発癌抑制 |
Research Abstract |
B型肝炎ウイルス遺伝子の中でトランスアクチベータ-活性を持つ遺伝子、HBxを挿入したトランスジェニックマウスH9は生後12カ月頃より肝癌を発症し、最終的には80%以上が発癌する。このマウス系を用いてアンチセンスDNAがHBx遺伝子発現ひいては発癌を抑制することが可能かを検討した。長期投与と長期観察を避けるために、まず発癌の前に経時的に認められる前癌状態を抑制できるかを検討した。まず投与スケジュールについて検討した。生後8週日のマウスに連日7日腹腔内に1mgのフォスフォロサイオエイトオリゴマーDNAを投与したが特に毒性は認められなかった。更に、早期からの投与を目指して生後1〜2週に0.2mg、2〜3週に0.5mg、3週以後に1.0mgを週3回投与したところ、投与をうけた3匹全てが発育障害を示し4週目に至る前に死亡した。投与開始を2週目からとし2〜4週に0.2mg、4〜5週に0.5mg、5〜10週に1.0mgとしたところ発育障害は認められず、毒性は認められなかった。 そこで生後8週目のマウスに7日連続投与する方法と、生後2週目から投与量を漸増する上記の投与スケジュールで実験を行なった。標的遺伝子はHBx遺伝子の翻訳開始部位をカバーする27-merとした。オリゴマーはヌクレアーゼ抵抗性のフォスフォロサイオエイトとした。連日7日間投与でHBxの発現をRT-PCRで検討したところ、アンチセンス投与群ではセンス投与群、PBS投与群に比較して著明な減少を認め、殆ど検知できなかった。漸増投与法では上記のRT-PCRに加え、ウエスタンブロット,組織検査で検討した。更に、細胞分裂の指標としてBromo Deoxyuridine Incorporationを検討した。組織検査は第3者によりBlindにて定量化を行なった。全ての検討した項目で有意にアンチセンスはHBx産生とHBxによる組織変化を抑制した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 松倉誠: "アンチセンス分子による遺伝子発現の制御" 蛋白質 核酸 酵素. 40. 1378-1382 (1995)
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[Publications] 松倉誠: "ウイルス感染の治療" 小児科. 36. 1191-1194 (1995)
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[Publications] Makoto Matsukura,et al.: "Antisense phosphorothioates as antivirals against human immunodeficiency virus (HIV) and hepatitis B virus (HBV)" Toxicology Letters. 82/83. 435-438 (1995)
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[Publications] Kyoji Moriya,et al.: "In Vivo Inhibition of Hepatitis B Virus Gene Expression by Antisense Phosphorothioate Oligodeoxynucleotides" Biochemical and Biophysical Research Communication. 218. 217-223 (1996)