1994 Fiscal Year Annual Research Report
マクロファージ由来 LPS耐性変異株からのLPS耐性遺伝子の分離と解析
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06807171
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Research Institution | 国立予防衛生研究所 |
Principal Investigator |
天野 富美夫 国立予防衛生研究所, 細胞化学部, 主任研究官 (90142132)
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Keywords | マクロファージ / リポ多糖(LPS) / 耐性遺伝子 / 変異株 |
Research Abstract |
本年度は、マウスマクロファージ系細胞株J774.1の亜株、JA-4を親株とし、これより分離・樹立したLPS耐性変異株、LPS1916細胞株変異株を用い、LPS耐性に関連すると思われる性質について検討した。マクロファージのLPSに対するレセプターと言われているCD14分子の分布をみたところ、LPS1916細胞では親株の約1/(10)に低下していた。しかし、CD14分子の存在とLPS応答性とが必ずしも一致しないことが明らかになった。また、LPSによるマクロファージ活性化によって産生されるもののうち、プロスタグランジンやH_2O_2、あるいは一酸化窒素ラジカル(NO・)等は、LPS1916に対しても親株JA-4に対しても、ほぼ同等の細胞傷害性を示したことから、これらに対する抵抗性が、LPS1916細胞のLPS耐性の本体ではないと考えられた。 次に、この変異株のLPS耐性が遺伝学的に優性か劣性かを調べるため、親株、変異株それぞれの中から、ウワバイン耐性およびハイグロマイシン耐性株を樹立することを試みた。その結果、両株から、ウワバイン耐性株を分離できたが、ハイグロマイシン耐性株は、薬剤の毒性が強いため、分離に成功していない。現在、両株に対してハイグロマイシン耐性遺伝子の導入を行うことを検討している。これらの耐性株を用いた細胞融合実験により、LPS耐性遺伝子が優性か劣性かの判定を行い、遺伝子のクローニングの方針をたてる方針である。 本研究の推進に当たって不可欠なのが電気パルス法による遺伝子導入である。本年度、優先的に購入した遺伝子導入装置は、しかし、実際に使用したところ、他の細胞の条件とはかなり異なった条件の設定が必要であった。現在、ようやく細胞の調整法その他の詳細な条件設定ができた。このように、予想以上の困難に遭遇して当初の計画どおりの研究の進行が達成されていないが、ようやくさまざまな実験条件が定まったところである。
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[Publications] Kura,F.: "Differnce in Legionella pneumophila growth permissiveness between J774.1 murine macrophage-like JA-4 cells and lipopolysaccharide(LPS)-resistant mutant cells,LPS1916,after stimulation with LPS" Infection and Immunity. 62. 5419-5423 (1994)
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[Publications] Inoue,S.: "Intracellular killing of Listeria moncytogenes in the J774.1 macrophagelike cell line and the lipopolysaccharide (LPS)-resistant mutant LPS1916 cell line defective in the generation of reactive oxygen intermediates after LPS treatment" Infection and Immunity. 63. in press (1995)
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[Publications] Amano,F.: "Heterogeneity in lysosomal fusion with phagocytic vesicles and cell membrane in non-phagocytosing Guinea pig polymorphonuclear leukocyte" Japanese Journal of Medical Science and Biology. 47. 179-193 (1994)
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[Publications] Nakamura,R.: "Resistance to mycrobacterial infection and cytokine production in mouse macrophages in “Microbial Pathogenesis and Immune Response"" Annals of the New York Academy of Sciences, 383 (1994)
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[Publications] Amano,F.: "Inhibition of zymosan-induced macrophage functions by diisopropyl-fluorophosphate (DFP) in a macrophage-like cell line,RAW264.7 cells in “Chiba International Symposium on Cancer"" Monduzzi Editore(in press), (1995)