1994 Fiscal Year Annual Research Report
共分散構造分析による外国語としての英語における学習者要因総合モデルの構築
Project/Area Number |
06808025
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
木下 徹 名古屋大学, 大学院国際開発研究科, 助教授 (90177890)
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Keywords | 個人特性 / 共分散構造解析 / EQS / LISREL / 第2言語習得 / モデル / 評価論 / テスト |
Research Abstract |
本研究の目的は第二言語能力と個人特性の関係を、多変量解析の中で最も進んだ手法の一つである共分散構造解析を用いて、これまでの諸理論を構造方程式によりモデル化し、それらを直接比較することで、統計的な有意検定を通して、実証的に最適モデルの発見を目指すというものである。 進捗状況に関して、当初の計画では本年度中にパイロットスタディ(予備調査)と調査の本体の両方を終える予定であった。しかし、実際には、予備調査のうち、被験者の背景を探る質問紙法による調査が、日本語に翻訳したことから生じた意味の微妙なずれにより、本調査に使用できないと判断される項目が全体のうち、10数%生じたため、本来の大規模な調査以前に、調査項目群を適正化する必要が生じた。また、当初予定していた標準テストが、予備研究の結果、やはり、予想される被験者群の平均レベルより、難度が高すぎ、被験者の多数が比較的低位に集中し、分散が小さくなり、信頼性係数が低くなってしまった。この点も、被験者の実情により近い、難易度をもつと思われる、別種の標準化テストに代えることとした。このように、予備調査の結果、本調査で、予定していなかった変更を余儀なくされることとなった分、 次年度に計画がずれこんでいる。 しかしながら、一方で、予備調査で得たデータを、共分散構造解析のモデルに持ち込んでみた部分については、個人特性と第二言語能力の関係の諸理論に関して、現在も有力な一つと考えられているKrashenのモニター仮説のモデルを、統計的有意差をもって排除することができた。さらに、筆者独自のモデルとして、個人特性からの間接的影響を表すパスが直接的影響を表すパスと同程度に重要であることを示唆する知見もえられた。今後は早急に、遭遇した測定の信頼性に関する問題を改善して、本来の実験に入る予定である。
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