1995 Fiscal Year Annual Research Report
外国人に人工的でない日本語を教える教師用マニュアル作成のための研究
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06808028
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Research Institution | Toyo Eiwa Women's University |
Principal Investigator |
鶴田 庸子 東洋英和女学院大学, 人間科学部, 講師 (00227480)
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Keywords | 日本語教育 / 教師用マニュアル / コミュニケーション能力 / 話しことば / 自然さ / 誤用論 / ポライトネス / 初級教材 |
Research Abstract |
前研究(課題番号04808050)で作成した試作版教科書に関して日本語教師・教授法受講者にコメントを求めたところ、表現の用法の記述内容の当否に関してコメントが対立する部分があったので、日本語母語話者(大学生と社会人:計428名)を対象にアンケート調査を行い、結果の集計をした。その結果、記述の一部は変更する必要があることが分かった。 いっぽう、コメントを収集する過程で、教育担当者が表現の導入・練習について抱いている考え方に触れることができた。教授法受講者も含め、日本語教育担当者の多くに、ある表現を使うのはどういう場面かという点にあまり注目しない傾向があることが分かった。ある表現の論理的意味だけを考えれば使えるかもしれない場面で、母語話者はふつうそれを使わないということがある。使ったら相手を侮辱することになるとか、それは相手がもう知っている情報で、言ったらしつこいとか、その場面のさまざまな状況との関係で伝えることになってしまう意味を考えてのことだ。つまり、ある表現を学習者がいろいろな場面で適切に使えるようになることを望むのであれば、導入と定着には、その表現が伝える論理的意味だけではなく、それが使われる場面がもつ情報(相手との関係・恩恵関係・それまで交わされていた会話の内容など)との関係で伝える意味にも注意を払う必要がある。そこで、教師用マニュアルでは、場面を重視する導入・練習法を行うことを主張し、じっさいの教室活動を考える際に参考になりそうな例を提示した。
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[Publications] 鶴田庸子: "ディグロッシアとしての敬語使用" 調布日本文化. 5号. 350(53)-336(67) (1995)
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[Publications] Tsuruta, Yoko: "Do we really know better than our students?" Keio SFC Monograph. 5(印刷中). (1996)