1996 Fiscal Year Annual Research Report
システムステート・ダイナミクスに関する情報論的検討と予測制御手法の研究
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06808042
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Research Institution | KYUSHUTOKAI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
古閑 政 九州東海大学, 工学部, 教授 (00261082)
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Keywords | 状態変換システム / 相補的分枝構造 / システム情報量 / 多次元システムの分解 / 情報量の増減 / データマイニング |
Research Abstract |
一般的なシステムに重畳して観測される状態変換システムは、相補的分枝構造とシステム情報量とによって特徴付けられる。前者は対称性と交差性を有するグラフ構造であり、或る状態集合を別の状態集合に変換する仕組みを視覚的に表現したものである。したがって、状態変換システムとはどういうものであるかを理解するには便利であるが、多次元多要素の場合表現に必要なスペースが大きくなるという欠点がある。そこで、内容的には同じことを表形式で表す方法を工夫した。この場合、変換の仕組みは不明となるが、システム情報量の計算には何の不都合も生じない。また後者については、多次元システムを低次元システムの集合と比較する問題を研究してきており、特にシステム情報量がどうなるかは、応用面から興味深いテーマである。つまり、元の多次元システムの情報量と分解して得られる低次元システムの情報量の総和とを比較したとき、そのどちらが大きくなるかは変換行列の要素値の分布によって決定されることを明らかにした。具体例として、3次元2-2-2要素の場合と3次元2-3-2要素の場合について、大小比較のための判別式をもとめている。また、システム情報量の大小が反転するような数値例も検討している。 このように多次元を低次元に分解するのは、グラフ構造からも可能であるが、表形式の場合の手法として行列演算により低次元システムを求める技法を開発した。その中心を成すのは、中抜き定理と反射定理である。さらに、3次元の全行ベクトルと同時分布が与えられているとき、全体システムから分解システムへの変換及びその逆を行う手法を明らかにしている。これらの技法と関連して、3次元状態変換システムの行列演算的表現についても可能であることが判明している。 以上の理論の応用として、表形式データの表示変換における情報量の増減を検討し、最近の話題であるデータマイニングにも有効な手法と成りえる可能性を示唆した。
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[Publications] 古閑 政: "不確定状態系の基礎理論" 情報処理学会九州支部研究会報告. 213-221 (1997)
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[Publications] 古閑 政: "情報の存在と計測に関する諸考察" 九州東海大学総合教育研究センター紀要. 第9巻. 印刷中 (1997)
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[Publications] 古巻 政: "表形式データの情報量の検討" 第14回パソコン利用技術研究発表会講演論文集. 26-29 (1997)
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[Publications] 古閑 政: "データ処理の意味の検討-情報エントロピーによる評価法の提案-" パソコンリテラシ. 22巻2号. 38-44 (1997)
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[Publications] 古閑 政: "状態変換システムの諸特性の検討(その2)" 情報処理学会研究会報告. 96巻91号. 17-24 (1996)
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[Publications] 古閑 政: "情報変換システムの諸特性の検討(その1)" 情報処理学会研究会報告. 96巻72号. 9-16 (1996)