1994 Fiscal Year Annual Research Report
ガンマ線スペクトロメトリーによるエネルギー精密測定法の研究
Project/Area Number |
06808047
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
岸川 俊明 熊本大学, 工学部, 助教授 (70040425)
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Keywords | ガンマ線エネルギー / ランダムサミング / 非比例性補正 / 半導体検出器 / ガンマ線スペクトロメトリー |
Research Abstract |
本年度は(1)検出装置の積分非比例性に関する補正法の開発および(2)ベースライン波形を構成するサミング現象の要因の定量的把握に重点をおいて研究を遂行した。 1.検出装置の積分非比例性に関する補正法の開発 この補正法は、従来の積分非直線性補正と全く異なる概念:パルス信号が測定用の波高分析システムにおけるエネルギー校正に関する情報を与える、という理論に基づく。このためには、あらかじめシステムの校正を行わなければならない。実験には本研究室のほか原研(JRR-3M)および立教大学原研の施設を利用した。システム校正は精密パルス発生装置を用いて、パルス電圧とパルスピークのセントロイドとの関係から実現する。非比例性補正曲線は平滑化スプライン関数(SSF)として得た。SSFの滑らかさは平滑化パラメータgによって決まるので、gの最適値はトレンド法により求められた。また、パルスピークの経時変動を調べ、システムの安定性の把握法を開発した。 2.ベースライン波形を構成するサミング現象の要因の定量的把握 半導体検出器によって得られるスペクトル中で、光電ピークが相応するγ線エネルギー情報を担っているが、この光電ピーク部分の下に隠された目的外の信号が、ベースライン波形として共存し、エネルギー・強度の精確な測定を妨害している。今年度は、ベースライン成分(3成分:小角散乱、ランダムサミングおよびバックグランドよりなることを解明済み)中の、特にランダムサミング成分に着目した。ランダムサミング成分は検出器外の事象(制動放射)および検出器内の事象(コンプトン散乱電子)により発生するので、この発生量と波形プロフィルとの関係を定性・定量的に調べた。
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[Publications] 岸川俊明: "Gamma-ray spectrometry with a Ge detector:An importance of instrument function on a new energy calibration method" Nucl.Instr.& Meth.in Phys.Res.A353. 285-290 (1994)
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[Publications] 岸川俊明: "ガンマ線スペクトル解析の急進展:装置関数の意義" 熊大極低温. 5. 7-12 (1994)
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[Publications] H.C.Grifin: "Radiation Measurements and Applications" North-Holland, 734 (1994)
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[Publications] M.Miyajima: "Radiation Measurements and Applications" National Laboratory for High Energy Physics(発表予定), (1995)