1995 Fiscal Year Annual Research Report
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06808052
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
金子 哲也 杏林大学, 保健学部, 教授 (40146551)
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Keywords | 住環境 / 不安・抑鬱尺度 / 主観点評価 / 質問票 / ソウシャルサポート / タイプA / 音環境 / ライフイベンツ |
Research Abstract |
居住環境の主観的価値を測り、またその背景となりうる個人要因を知るため、平成6年度に試作した環境満足度質問票の試行を続けた。本年度は、連年受診者において環境評価の変化とライフイベント(以下LE)の関与の可能性を、また、郊外在住者においては都心部在住者の環境評価構造との対比を試みた。 健診受診者における質問票の取り扱いは前年度と同様である。受診リストをマッチングさせることによって2年連続の受信者のみを選出した。解析の対象となったのは有効回答を得た女性210名である。その結果、交通の便などを基盤とする「利便性」の評価は当然ながら両年ほぼ同じだが、「自然」「音環境」に対する評価は後年の方が厳しくなる傾向にあった。これらから前年にLEの発生がなく記載洩れもない者112名を選出、両年を比較した。このうちLEが発生した36名では有意に「自然」と「音環境」への負の評価が増加していた。 ついで郊外の在住者に対し、記入と投函を求める手紙を同封した質問票を直接配布して調査を行った。女性171名(年齢:52.3±13.2)からの回答を統計的に解析した。その結果、都心部在住者における回答と、抽出された7因子を構成する項目が同じであることが示された。また、ここでは不安得点と「景観」「住居」、抑鬱得点と「便利さ」「音」「施設」との間で有意な相関性が認められた。 以上、居住環境に対する主観的評価においては、都心部、郊外両地域の回答者において共通の7因子が認められた。それらのうち、とくに「音」と「景観」に対する評価は、不安や抑鬱的心情と関連していることが示唆された。また、ライフイベントの発生など、個人的要因によっても環境評価の一部は影響を受ける可能性のあることが示された。
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