大気NO_2低減化のための植物葉における硝酸同化能の分子生理学的解析

1994 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 06808054
• Research Institution: Hiroshima University
• Principal Investigator: 入船 浩平 広島大学, 理学部, 助手 (10184847)
• Keywords: 二酸化窒素 / 硝酸同化 / 硝酸還元酵素 / 亜硝酸還元酵素 / ノザンハイブリダイゼーション法 / ウエスタン法 / 遺伝子発見応答 / 硝酸誘導

Research Abstract

これまでにNO_2の吸収・同化に関する米山ら(1978)の先駆的研究があるが、分子レベルでの発現応答については知られていない。そこで、NO_2の暴露に対する硝酸同化遺伝子の発現応答を調べるために、連続光下で5-6週間生育させたシロイヌナズナをNO_2(4±1ppm)に8時間(0-8h)暴露させ、経時的(0、1/4、1/2、1、2、4、8、14h)にRNAを抽出した。これまで得られているシロイヌナズナNRcDNA、NiRcDNAをプローブにノザン法により各遺伝子のNO_2暴露に対する転写量を比較・解析した。また、ホウレンソウNiRから得られた抗体を用いてウエスタン法により蛋白量を解析した対照として50mMKNO_3を培養土に添加させ、同様の解析を行った。
ノザン結果、いずれの遺伝子ともNO_2暴露、硝酸添加後30分で暴露前に比べ転写量の増加が認められた。その後、1時間目まで転写量は暴露前より増加していたが2時間目から転写量は低下し始め、以後、調べた24時間目まで低い値であった。
ウエスタン解析の結果、RNA量ほど顕著ではないがNO_2暴露においては1時間目から蛋白量の上昇が認められ、その後はほとんど一定であった。硝酸誘導において同様に1-4時間目で上昇しその後わずかに上昇がみとめられた。
これらの結果より、NO_2暴露硝酸誘導ともほぼ同様な遺伝子発現応答がみとめられた。NO_2分子は植物葉内で水と反応して硝酸と亜硝酸となり、細胞内へ取り込まれると考えられるが、NO_2暴露においてもNR,Nir遺伝子の発現誘導が起こることからNO_2が少なくとも一部は硝酸として取り込まれていることが確認された。

Research Products

• [Publications] Morikawa,H.: "Bombardment-madiated transfor mation of Plant Cells" Journal of Plant Research. 107. 117-123 (1994)
• [Publications] Tanaka,T.: "Nucleotide sequence of a geve for nitrite reductse from Arobidopsis thaliana" DNA Sequence. 5. 57-61 (1994)
• [Publications] Sawasaki,T.: "Gevetic stable transformation of Arabidopsis thaliana by the bar gene using partide bombardment" Transgenic Research. 3. 279-286 (1994)