1995 Fiscal Year Annual Research Report
中性子小角散乱によるガラス中に固定された蛋白の構造と機能の研究
Project/Area Number |
06808066
|
Research Institution | Jichi Medical School |
Principal Investigator |
原田 三男 自治医科大学, 医学部, 助教授 (90181023)
|
Keywords | 中性子小角散乱 / ガラス / ゲル |
Research Abstract |
蛋白をガラスのゲル中に閉じ込めた試料及び蛋白を入れてないガラスのゲルのみの試料に対する中性子小角散乱実験を行なった。コントラスト変化法によるガラスのゲルのマッチングポイントは、およそ重水60%軽水40%の位置であることがわっかた。この結果は、計算上のマッチングポイントである重水67%軽水33%と異なる。これは、ゲル中に外部の溶液と交換できない閉じ込められた軽水が多くあるためと考えられる。このゲルの構造を調べるために、ゲル作成の際に水分量を通常の場合に比べて多くしたり、少なくしたりしてゲルをつくり、それを中性子小散乱実験で調べ、ガラスのゲルがどのような構造になっているのか解析を行なった。ゲルの構造を決めるモデルとして、各要素が小さな球からなる一次元のガウシアンチェーンを採用した。この場合の散乱強度はI(q)=f(q)S_G(q)で与えられる。ここでS_G(q)=2(e^<-x>+x-1)/x^2, x=q^2R_G^2となる。R_Gはガウシアンチェーンの慣性半径である。f(q)=3{sin(qr_0)-qr^0cos(qr_0)}/(qr_0)^3は半径r_0の球の散乱関するである。qは散乱ベクトルの大きさである。この式を用いた解析より、要素となる小球の大きさは、大体直径+数Å程度であることが分かった。この大きさはゲル作成の方法を変えてもあまり変わらないようである。変わった点は、ゲル作成の際の水分量を増すと、ガウシアンチェーンの鎖の長さが長くなっていくことである。一本の鎖の長さが長くなるということは、ガウシアンチェーンの場合隙間が増すということに対応する。つまりゲル作成の際の水分量が多ければゲル中の隙間も増すということである。現在、蛋白をいれた試料の進行中である。
|