1996 Fiscal Year Annual Research Report
光ピンセットを用いて神経細胞の膜蛋白分子を捕捉する研究
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06808070
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Research Institution | TOKYO MEDICAL AND DENTAL UNIVERSITY |
Principal Investigator |
辰巳 仁史 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (20171720)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片山 芳文 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (20014144)
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Keywords | Nano-meter / Neuron / Growth cone / Laser trapping / molecule |
Research Abstract |
膜蛋白分子の捕捉と移動に光ピンセットを用いることは、特に重要な応用である。光ピンセットの能力を最大に生かすには、光学的測定に有利な偏平な標本を使うことが第一に重要である。発生過程の神経細胞や培養神経細胞の神経突起の先端には成長円錐が観察される。神経成長円錐は偏平な細胞構造で運動性が高く、神経突起伸長に必要な認識物質の識別を行い伸長方向を決定すると考えられている。 ラット脳切片から微小ナイフにより切り出された海馬を酵素処理し神経細胞を単離し培養する。3時間から24時間培養された神経細胞の神経突起には成長円錐が形成されることを、現有の7000倍の高倍率微分干渉顕微鏡で観察する事ができる。標本に細胞興奮を引き越すと考えられる膜脱分極刺激を与えると、神経成長円錐の形態に変化が起こる事を発見した。この神経成長円錐に金コロイド微粒子(直径 40nm)を潅流投与し、高倍率微分干渉顕微鏡による神経成長円錐の映像をビデオ画像強調すると金コロイド微粒子が膜表面に付着している様子が観察される。高倍率微分干渉顕微鏡の細胞照明用の光路に10mWのヘリウムネオンレーザー(およびアルゴンクリプトンレーザー100mW)光を導入し金粒子に集光すると光ピンセットとして作用し金粒子を捕捉できた。この装置を用いて空間分解能10ナノメートル時間分解能33ミリ秒の精度で、光ピンセットにより捕捉された金コロイド粒子の運動を定量的に分析した。その結果、細胞接着蛋白分子(NCAM)を金コロイド粒子により標識し、細胞骨格と強く結びついている膜蛋白分子のダイナミックな動きは神経の興奮により運動を盛んにすることが見出された。これら研究から神経細胞成長円錐の活発な運動を可能にしている分子機構を研究解明しつつある。(文献95年 実験医学別冊 バイオマニュアルUPシリーズ 脳、神経研究プロトコール、文献96年中谷電子計測技術振興財団年報 および 論文原稿)。
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[Publications] 辰巳仁史: "シナプス伝達の測定法" Clinical Neuroscience. 14. 905-908 (1996)
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[Publications] Soeda. Tatsumi. Katayama: "Neurotransmitter release from growth cones of rat" Neuroscience in press.
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[Publications] 辰巳仁史・片山芳文: "光ピンセットを用いて膜タンパク分子の相互作用を測定する技術" 中谷電子技術振興財団年報. 10. 66-71 (1996)
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[Publications] 辰巳仁史: "細胞内カルシウム実験プロトコール" 羊士社, 201〜 (1996)