1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06808085
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute for Neuroscience |
Principal Investigator |
南部 篤 (財)東京都神経科学総合研究所, 病態神経生理学研究部門, 副参事研究員 (80180553)
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Keywords | 脳磁場 / 高次脳機能 / 非侵襲的脳機能計測 / 超伝導量子干渉素子 / Broca野 / 言語野 |
Research Abstract |
超伝導技術の進歩により、脳が発生する極めて微弱な磁場を検出することが可能となった。この方法は、時間分解能および空間分解能に優れており、非侵襲的にヒトの脳機能を計測する方法として注目を集めつつある。本年度は、昨年度に引き続き、運動性の言語野に関する研究を継続するとともに、文字の認知に関する神経機構についても検討を行った。いうまでもなく、高度な言語はヒト特有のものであり、また思考過程にも関与しているので、このような研究は、ヒトの高次脳機能解明への重要な糸口になるとと考えられる。 (1)昨年、報告したように、発声を伴わない「しりとり課題」の場合に、両側の前頭葉外側部に特異的な活動が認められ、三次元再構成されたMRI像と重ね合わせると、この活動部位は一部Broca野を含むと想像された。左右両側の活動を比較してみると、電流双極子の大きさ、および潜時にあまり差がないことなどにより、Broca野ばかりでなく劣位半球の相同部位も同様に働いていると考えられた。このように、言語想起などの言語活動には、両側前頭葉の活性化が重要であるとの結論を得た。 (2)文字の認知に関連した脳活動を検出する目的で、漢字と、それを4分割して再構成して作った「偽漢字」とを被験者に提示した際の誘発脳磁界を計測し、両者での差を比較、検討した。遅い潜時(300〜500ms)において両側側頭葉に有意な反応が観察され、これは漢字提示の際に大きい傾向があった。同様な差は、平仮名と「偽平仮名」などでも観察された。しかし、本反応は文字というよりは、形の認知に関連した脳活動の可能性もあるので、今後、検討を続ける必要がある。
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Research Products
(9 results)
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[Publications] Nambu A, Matsuzaki R, Gemba H, Sasaki K: "Magnetic fields in the cerebral cortex associated with visually initiated finger movements in human subjects," Biomagnetism : Fundamental Research and Clinical Applications. 141-144 (1995)
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[Publications] 南部篤: "高次脳機能に関連する脳磁場" 臨床脳波. 37. 219-226 (1995)
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[Publications] 南部篤、佐々木和夫: "MEG(脳磁場計測)によるヒトの非侵襲的脳機能計測" 実験医学別冊 バイオマニュアルUPシリーズ脳・神経研究プロトコール細胞培養から機能解析へ. 218-221 (1995)
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[Publications] Tokuno H, Takada M, Nambu A, Inase M: "Direct projections from the orofacial region of the primary motor cortex to the superior colliculus in the macaque monkey" Brain Research. 703. 217-222 (1995)
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[Publications] Tokuno H, Takada M, Nambu A, Inase M: "Somatotopical projections from the supplementary motor area to the red nucleus in the macaque monkey" Experimental Brain Research. 106. 351-355 (1995)
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[Publications] Sasaki K, Kyuho S, Nambu A, Matsuzaki R, Tsujimoto T, Gemba H: "Motor speech centres in the frontal cortex" Neuroscience Research. 22. 245-248 (1995)
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[Publications] Sasaki K, Gemba H, Numbu A, Matsuzaki R: "Prefrontal activity on no-go decision" Biomagnetism : Fundamental Research and Clinical Applications. 274-277 (1995)
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[Publications] 佐々木和夫、玄番央恵、南部篤、久宝真一、松崎竜一、逵本徹: "脳磁場および脳電場計測による前頭連合野の動態研究" 日本生理学雑誌. 57. 13-21 (1995)
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[Publications] Nambu A, Takada M, Tokuno H, Inase M: "Dual somatotopical representations in the primate subthalamic nucleus : evidence for ordered but reversed body-map transformations from the primary motor cortex and the supplementary motor area" Journal of Neuroscience. (in press). (1996)