1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06831007
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
山本 盤男 九州産業大学, 経済学部, 教授 (30131733)
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Keywords | 経済自由化政策 / 税制改革 / 付加価値税 / マクロ経済不均衡 / 財政赤字 / 構造調整プログラム / 経済改革 / 開発途上国 |
Research Abstract |
当研究の第1の課題は、1991-92年度から1993-94年度までにインドのナラシムハ・ラオ政権が実施した経済自由化政策と財政政策を分析し、その特徴と経済的および財政的効果を評価することである。第2の課題は、1994-95年度以降に目指される経済改革と税制改革を分析し、その経済・財政効果を評価することである。2年計画である当研究の平成6年度の研究計画で設定された個別課題について、研究成果として次のことが明らかになった。 1.第1の課題に関連して、1991-92年から3年間の経済自由化政策および財政政策とインド国内の研究成果を分析した。この3年間に産業政策、貿易政策、外国為替政策と外国投資政策において画期的な経済自由化政策が行われた。政府は楽観的自己評価をしているが、1993年度末に130億ドルにまで回復した外貨準備を除くと、改善は見られるが、経済成長率とインフレ率目標、マクロ経済不均衡の主因とされる財政赤字のGDP比率削減目標とも達成されなかった。この3年間の税制改革では1992-93年度の所得税の税率構造のフラット化が注目される事実である。 2.1994-95年度予算の税制改正では、法人税と関税の税率構造の簡素化と消費税のMODVATの資本財、石油製品と織物部門の紡糸への適用拡張など大きな展開が見られた。外国投資は積極化してきたが、過去3年間の経済改革の評価をめぐり厳しい批判が展開されており、今後の経済改革が経済効果に結実するか否かが重要な問題である。 3.第2の課題に関連する『税制改革委員会報告』をこれに関するインド内外の研究成果を踏まえて検討し、その特徴と意義を論文に整理した。報告がなお累進的直接課税を重視している点に特徴と限界があり、最も注目され重要な消費税改革での付加価値税(VAT)導入問題について、報告は中央消費税と州売上税の中央VAT移行を長期目標としているが、中央VATか州VATか中央と州の二重VATかのVAT導入形態が今後の焦点であることを明らかにした。
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