1994 Fiscal Year Annual Research Report
熱ルミネッセンスによる隕石の分類についての実験的研究
Project/Area Number |
06832002
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Research Institution | Miyagi University of Education |
Principal Investigator |
松濤 聡 宮城教育大学, 教育学部, 助教授 (50199824)
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Keywords | 熱ルミネッセンス / カソードルミネッセンス / 隕石 / コンドライト / コンドリュール / コバルト60γ線 |
Research Abstract |
本研究の初年度である今年は、(1)熱ルミネッセンス(TL)測定システムの組み立て、を中心に行った。システムの製作に必要な主要部品は平成6年12月までには揃い、岡山の業者に作成を依頼していたTL測定容器も完成した。測定に必要なインターフェイスボードやヒーター部分部品などは、共同研究者である岡山理大の蜷川・山本らの技術協力により作成された。実際のTL測定システムの組み立てと動作確認のための試験は、京都大学原子炉実験所(大阪府熊取町)において行い、本測定システムはノートパソコンを用いた制御により正常に作動することが確認された。また、同実験所のコバルト60-γ線照射装置を使い、(2)鉱物試料によるTL予備測定、を実行した。鉱物試料としては長石類を用い、γ線照射線量や温度上昇速度などの実験条件とTL発光量の関係を予備的に検討した。TL測定システムの製作と並行にして、岡山理大・蜷川らとの共同研究として非平衡普通コンドライト中のコンドリュールのカソードルミネッセンス(CL)の研究を行った。CLの発光メカニズムは基本的にはTLと同じであるので、発光の色(波長分布)を大づかみに捉えるのに有用であるからである。Sears et al.(1992)の研究では、コンドリュールのメソスタシスのCL発光状態は、黄色・青色・にぶい青色・紫色・光らないの5種類であるのに対して、宮教大・佐藤(1995)のCL観察によると、これらに加えて緑系・白茶系・赤茶系の発光色が明らかに認められ、CLの色に予想以上の多様性のあることが新たに判明した。また、メソスタシスの発光の色が、その化学組成を敏感に反映することが明らかになった。青色領域のみでのTL強度に基づいてSears et al.(1980)の岩石学的サブタイプは、隕石のTL発光の全貌を捉えていないことが確実となった。
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