1995 Fiscal Year Annual Research Report
PETを用いたヒト脳の正常・異常老化の神経薬理学的研究
Project/Area Number |
06833002
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Research Institution | Tohoku University of Medicine |
Principal Investigator |
谷内 一彦 東北大学, 医学部, 助教授 (50192787)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
目黒 謙一 東北大学, 医学部, 助手 (90239559)
大津 浩 東北大学, 医学部, 助手 (60250742)
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Keywords | ヒスタミン / 脳の老化 / アルツハイマー病 / ヒスタミンH_1受容体 / 局所脳糖代謝率 / ヒスタミンH-1受容体ノックアウトマウス |
Research Abstract |
アルツハイマー病は神経細胞の消失、アルツハイマー神経原線維変化、老人斑など特有の神経病理学的所見を持つ痴呆症であり、治療法はもとより病因・病態も十分に解明されていない難病である。神経伝達物質の異常としては古くからアセチルコリン系、とくにマイネルトの基底核における神経細胞脱落とコリン・アセチルトランスフェラーゼ活性の低下が知られている。アルツハイマー病におけるヒスタミン・ニューロン系の変化についてはほとんど報告がなく、どのような変化があるのか解っていない。ヒスタミンH3受容体アンタゴニスト投与により老化促進マウス(SAM)の学習能が回復することや老化促進マウス(SAM)においてヒスタミンニューロン系の異常があることなどを基礎実験から明らかにした。このようなことから、我々は本研究を受けてアルツハイマー病患者の脳のヒスタミンH1受容体をPET(ポジトロン・エミヅション・トモグラフィー)を用いて測定した。進行例と初期数例のアルツハイマー病と年齢・性の一致した対照例において、^<11>C-ドキセピンを用いてヒスタミンH1受容体を測定した。アルツハイマー病においては^<18>F-フルオロデオキシグルコース(FDG)を用いた局所脳糖代謝率の測定を併行しておこなった。ヒスタミンH1受容体はアルツハイマー病中等度進行例においては年齢・性の一致した対照より有意に大脳皮質全体において減少したのに、局所脳糖代謝率は連合野において減少するが一次感覚野や一次運動野においてはかなり保たれていた。しかしアルツハイマー初期においてはH1受容体が減少する症例と変化しない症例があることが明らかになり、そのメカニズムを現在明らかにしている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] J.H.Ryu,K.Yanai et al.: "Ontogenetic development of histamine receptor subtypes in rat brain demonstrated by qunatitative autoradiography." Dev.Brain Res.87. 101-110 (1995)
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[Publications] K.Yanai,J.H.Ryu,et al.: "Histamine H-1 receptor occupancy in human brains after single oral doses of histamine H1 antagonists measured by PET" Brit.J.Pharmacol.116. 1649-1655 (1995)
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[Publications] K.Yanai,J.H.Ryu,et al.: "Positron emission tomographic study on central histamine H-1 receptor occupancy in human subjects treated with cpinastine" Meth.Find.Exp.Clin.Pharmacol.17. 64-69 (1995)
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[Publications] J.H.Ryu,K.Yanai,et al.: "Dopamine D1 receptor stimulation reverses the up-regulation of histamine H3 receptors following destruction of the aseending dopamine neurons." Brit.J.Pharmacol.(in press 1996).
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[Publications] K.Meguro,K.Yanai,et al.: "Effects of thioperamide,a histamine H3 antagonist,on the stepthrough passive avoidance response in SAM." Pharmacol.Biochem.Behav.50. 321-325 (1995)
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[Publications] 谷内一彦,ほか3名: "PETによる脳機能測定:in vivoレセプターマッピング" ブレインサイエンス. 5月号(印刷中). (1996)