1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06834010
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Research Institution | Takaoka National College |
Principal Investigator |
蜷川 彰 高岡短期大学, 産業工芸学科, 教授 (10029051)
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Keywords | 生漆 / ウルシオール / 酵素反応 / 鉛粉末 / 銅粉末 |
Research Abstract |
本年度の研究実施計画に基づき,下記の2項目について研究を行った。 1。生漆の各種金属粉末の取り込み量について 生漆は特定の金属に触れると着色するため,発色に大きな影響を与える。そこで本研究では鉛及び銅粉末の生漆に対する反応性を検討した。反応性は反応物のアセトン及びメタノール抽出を行い,溶剤可溶となった金属量を原子吸光光度計を用いて測定した。静置反応,撹拌反応ともに鉛が活性であったが,銅はほとんど活性を示さなかった。また,鉛はメタノール可溶部よりアセトン可溶部に多く取り込まれていたが,銅では両部にほとんど差が認められなかった。これら金属はウルシオールとは反応せず,反応するにはラッカーゼ酵素を必要とする結果が得られた。鉛との反応物の抽出溶剤による大きな違いは,アセトン可溶部にはジベンゾフラン誘導体が含まれ,メタノール可溶部には含まれないことが^1H-NMRスペクトルの結果から推察された。また,反応時間及び抽出溶剤を変えた反応物の可視吸収スペクトルの結果から錯体の変化も予想され,ジベンゾフラン誘導体を含む鉛錯体がアセトン可溶となったと推察される結果を得た。 2。金属種による生漆の塗膜形成への影響を調べるための予備実験 金属種の違いによる生漆の塗膜形成への影響を調べるための予備実験として,鉛粉末を用いて生漆の乾燥条件,粉末量と乾燥速度との関係等の検討を行っている。
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