1995 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアにおける古代ガラスの材質変遷からみた交流・流通システム
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06834015
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Research Institution | Nara National Cultural Properties Research Institute |
Principal Investigator |
肥塚 隆保 奈良国立文化財研究所, 埋蔵文化財センター・遺物処理研究室, 室長 (10099955)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平尾 良光 東京国立文化財研究所, 保存科学部・化学研究室, 室長 (40082812)
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Keywords | カリシリカガラス / 鉛シリカガラス / 弥生時代 / 鉛同位体比 / 青銅 / 古墳時代 |
Research Abstract |
弥生時代に流通したカリシリカガラスには,Cuイオンによって着色された青色のガラスがある.着色に使用した銅に関して,PbO,SnOが検出されることから青銅などの合金が使用された可能性がある.約300点におよぶ資料を分析した結果,Cu:Pb:Snの含有量比はほぼ5:3:2の比を示し,当時の一般的な青銅の組成には合わない.いっぽう,これらの鉛同位体比を測定したところ,日本産の鉛鉱石ではなく,中国産の鉛鉱石の可能性が大きい.今後,詳細な検討も必要と考えられた.いっぽうで,研究を続けてゆくなかで,従来にはない新しい知見が多く発見された.その一つに,カリウムガラスから勾玉や管玉が新たに発見され,また,それらはラジオグラフィーやX_CTにより明らかに穿孔されていることが判明し,当時におけるガラスの加工方法の再検討が必要となった.また,鉛シリカガラスについては,従来から古墳時代の前半には日本で鉛シリカガラスは発見されていないが,北部九州では,5世紀頃には鉛シリカガラスが流通している可能性も出てきた.これは,韓国において,5世紀頃には朝鮮半島で鉛珪酸塩ガラスが製造されたことが,最近の調査で明らかにされており,これらの鉛シリカガラスの流通の可能性が考えられ,今後の課題となる.
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 肥塚隆保: "大池7号墳出土ガラスの分析" 大池7号墳(兵庫県教育委員会). 65-69 (1995)
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[Publications] 肥塚隆保: "真南上3号墳出土ガラス玉類の分析" 真南上3号墳(兵庫県教育委員会). 34-39 (1995)
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[Publications] 山崎一雄,肥塚隆保 他: "博多遺跡群第62次調査で出土した無釉壷破片に付着した緑色ガラスの科学分析と鉛同位体比" 博多48 福岡市埋蔵文化財調査報告書 第397集. 239-244 (1995)
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[Publications] 肥塚隆保: "古代珪酸塩ガラスの研究 -弥生〜奈良時代のガラス材質の変遷-" 文化財論叢II. 929-967 (1995)
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[Publications] T.Koezuka,K.Yamasaki: "Chemical Composition of AncientGlasses Found in Japan -A Historical Survay-" Proceedings of 17th International Congres on Glass. Vol.6. 469-474 (1995)
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[Publications] K.Yamasaki,T.Koezuka,H.Shirahata: "Scientific Studies on Several Ancient Chinese Glasses" Proceedings of 17th International Congres on Glass. Vol.6. 497-502 (1995)
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[Publications] 肥塚隆保 他: "古代に挑戦する自然科学(第9回「大学と科学」公開シンポジウム)28HD01:1995" クバプロ,