1994 Fiscal Year Annual Research Report
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06834018
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Research Institution | Kashihara Archaeological Institute , Nara prefecture |
Principal Investigator |
今津 節生 奈良県立橿原考古学研究所, 資料室, 主任研究員 (50250379)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
肥塚 隆保 奈良国立文化財研究所, 飛鳥・藤原京発堀調査部, 主任研究官 (10099955)
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Keywords | 金属遺物の脱塩 / 錆の安定化 / 高温高圧脱酸素水 / インヒビター / ベンゾトリアゾール |
Research Abstract |
金属遺物中に残存する可溶性塩類の除去について、最も効果のある方法を比較検討しながら、新しい脱塩処理システムを構築する事を目的として研究を開始した。 先ず、脱塩処理の既存システムを改良して脱塩処理を実施した。また、脱塩効果の評価に必要な塩類の測定方法として、イオンクロマトグラフ、蛍光X線分析装置による方法を検討し、イオンクロマトグラフ法による分析手段を確立した。 金属の溶液中における腐蝕は、金属原子のイオン化反応速度と酸素などの溶液中の物質の還元反応速度(カソード反応)との組み合わせとして理解できるので、主にカソード反応を抑制することを目的として、脱酸素状態の高温水や腐食抑制剤を用いて錆を抑制し、効率的に金属遺物に含まれる可溶性の塩類を除去する方法を開発した。本年度は以下の事項について具体的に検討した。 1、可溶性塩類の除去に最も効果のある方法について検討した。その結果、従来の方法と比較して脱酸素水を溶媒とした高温高圧水による方法が最も効果的であるとの結果を得た。 2、最も簡単で効果のある脱塩処理システムを構築した。その結果、準備段階で購入した医療用の高温高圧処理システムを改良して新システムを構築した。 3、腐食抑制剤を用いた錆の安定化処理の方法について検討した。その結果、ベンゾトリアゾールとホウ砂からなる混合インヒビターを開発した。 なお、今後は遺物の埋蔵環境と脱塩効果に注目して、各種条件の異なる遺物に対して脱塩処理を実施する予定である。
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Research Products
(2 results)