1995 Fiscal Year Annual Research Report
平滑筋細胞におけるカルデスモンの転写調節機構の解析
Project/Area Number |
06836011
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
林 謙一郎 大阪大学, 医学部, 助手 (90238105)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
祖父江 憲治 大阪大学, 医学部, 教授 (20112047)
乾 誠 大阪大学, 医学部, 助教授 (70223237)
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Keywords | カルデスモン / 平滑筋細胞 / 形質転換 / プロモーター / 転写制御 / CArGボックス / 転写調節因子 |
Research Abstract |
本研究は平滑筋細胞の形質転換(分化・脱分化)の最良の分子マーカーであるカルデスモン遺伝子の発現調節を解析し、平滑筋細胞での普遍的な遺伝子発現制御機構及びその上流に当たる平滑筋細胞分化誘導機構の解明を目的として遂行した。カルデスモンは平滑筋及び非筋組織のアクトミオシン系の調節蛋白質で、分子量により高分子型(h-型)と低分子型(l-型)に分類され、それぞれ平滑筋組織及び非筋組織において優先的に発現している。さらに、平滑筋細胞の分化に伴いl-型からh-型へ発現変換し、同時にその発現量も著明に増加することが知られている。本研究では発現量を決定するカルデスモン遺伝子の転写制御を、我々の研究室が独自に開発した分化型形質を維持可能な初代平滑筋細胞培養系及び血清存在下で培養した脱分化型平滑筋細胞を用いて解析した。 平滑筋細胞で優先的に機能している平滑筋型プロモーターの解析をクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)遺伝子をレポーターに用いて解析した。この結果、転写開始部位の上流-309から-300に存在するCArGボックス様の配列(CCAAAAAAGG)が平滑筋細胞での転写活性の促進に必要であった。この配列はc-fosの血清応答性を決定しているCArGボックスを持つシス因子(SRE)と類似の配列であるが、血清応答性を示さない。また、ゲルシフトアッセイにより、この配列と特異的に結合する蛋白質が平滑筋細胞由来の核抽出液中に存在すること及び、この核蛋白質は分化型平滑筋細胞由来の核抽出液に多く存在することを明らかにした。さらに、このDNA-蛋白質複合体は血清応答因子(SRF)抗体によりスーパーシフトすることから、このCArGボックス様の配列に結合する核蛋白質はSRFあるいはSRF類縁体である可能性が高い。CArGボックス様の配列はカルデスモン遺伝子以外にも平滑筋細胞で強く発現している平滑筋型α-アクチン、SM22、及びα1インテグリン等のプロモーター領域に存在することから、共通の蛋白質因子が各々のCArGボックス様の配列に結合し、平滑筋細胞での転写活性を促進させていることが示唆された。
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[Publications] Yano H.: "Identification of two distinct promoters in the chicken caldesmon gene." Biochemi.Biophys.Res.Commun.201. 618-626 (1994)
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[Publications] Yano H.: "Transcriptional regulation of the chicken caldesmon gene : activation of gizzard type caldesmon promoter a CArG box-like motif." J.Biol.Chem.270. 23661-23666 (1995)
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[Publications] Saga H.: "Paradoxical expression of α-smooth muscle actin in visceral and vascular smooth muscle cells in their phenotype-dependent manner." J.Cell Biol.in press. (1996)
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[Publications] Hayashi K.: "Expressional regulation of caldesmon isoforms in association with phenotypic modelation of smooth muscle cells." Japan Sci.Soc.Press, 159 (1995)