1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06836013
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
土井 健史 大阪大学, 薬学部, 助教授 (00211409)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今西 武 大阪大学, 薬学部, 教授 (40028866)
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Keywords | スカベンジャー受容体 / α-ヘリカルコイルドコイル / ロイシンジッパー / エンドサイトーシス / リガンド解離 / ヒスチジン |
Research Abstract |
スカベンジャー受容体のα-ヘリカルコイルドコイルドメインに存在し、ロイシンの繰り返し配列を乱すN末端より168番目、及び260番目のヒスチジンについて、それぞれをロイシンに変換した受容体を発現する遺伝子を作成した。これらの遺伝子をCOS細胞に導入し、変異受容体を発現させこれらの性質を調べた。その結果、いずれの変異体も天然型と同じように細胞表面に発現され、リガンドと結合することが判明したが、リガンド取り込み、代謝活性には明らかな差が見られた。すなわち、260番目のヒスチジンを変換した受容体(His260変異体)では、代謝が約半分に減少していた。細胞表面上でのpH変化に伴うリガンドの遊離を調べたところ、His260変異体では弱酸性条件下において効率良くリガンドを遊離しなかった。さらに、細胞内におけるリガンドと受容体の動態を、金コロイド標識リガンドを用いた免疫組織学的染色法により調べたところ、His260変異体ではエンドソーム内でのリガンドの遊離が行われずに、リガンド-受容体複合体として代謝されることが判明した。以上のことから、スカベンジャー受容体のα-ヘリカルコイルドコイルドメインに存在するN末端より260番目のヒスチジンは、エンドソーム内におけるリガンドの遊離に非常に重要な役割を果していることが明らかになった。この成果に基づき、スカベンジャー受容体のリガンド解離における一つのモデル機構を提唱した。すなわち、エンドサイトーシスによりリガンドを取り込んだ後、エンドソーム内でのpHの酸性化に伴いこのヒスチジンがプロトネーションし、α-ヘリカルコイルドコイル構造を変化させ、これが隣接するリガンド結合ドメインの構造変化を引き起こし、リガンドを遊離するというモデルを提唱した。
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[Publications] 土井健史: "Scavenger receptorの意義" Pharma Medica. 12. 41-46 (1994)
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[Publications] 児玉龍彦: "対象疾患と導入遺伝子:家族性高コレステロール血症" 造血因子. 5. 104-108 (1994)
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[Publications] 土井健史: "マクロファージスカベンジャー受容体" 化学と生物. 32. 758-759 (1994)
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[Publications] Takefumi Doi: "The Histidine Interruption of an α-Helical Coiled Coil Allosterically Mediates a pH-dependent Ligand Dissociation from Macrophage Scavenger Receptors" J.Biol.Chem.269. 25598-25604 (1994)