1995 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮細胞の機能的特性である血管新生の機能解明と制御
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06836019
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Research Institution | THE TOKYO METROPOLITAN INSTITUTE OF MEDICAL SCIENCE,DEPARTMENT OF CANCER THERAPEUTICS |
Principal Investigator |
及川 勉 財団法人東京都臨床医学総合研究所, 化学療法研究部門, 研究員 (40120141)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱田 博司 大阪大学, 細胞工学センター, 教授 (00208589)
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Keywords | 血管内皮細胞 / 血管新生 / 血管新生阻害物質 / エポキシド基 |
Research Abstract |
前年度までに、微生物代謝産物であるラディシコールやエポネマイシンが血管新生阻害作用を有することを鶏胚漿尿膜法を用いて明らかにした。これら2つの微生物代謝産物はいずれもエポキシド基を有する。また現在最も研究が進んでいる血管新生阻害物質の1つであるフマギリン類縁体もこの官能基を含有する。これらの知見を基に、エポキシド基は血管新生阻害物質を探索する際の指標になるのではないかと考え、この官能基を持つ微生物代謝産物リゾキシンが血管新生抑制作用を示すかを鶏胚芽漿尿膜法とマウス背部皮下法を用いて検討したところ、リゾキシンは鶏胚漿尿膜上の血管新生を用量依存的に阻害し(ID_<50>=2 ng/egg)、またマウス背部皮下法で、腫瘍細胞が誘導する血管新生も有意に抑制することを見出した(Biochem. Biophys. Res. Commun., in preparation)。培養血管内皮細胞を用いたin vitro実験は、リゾキシンが複数の血管内皮機能を阻害することによって、血管新生阻害作用を発揮していることを突き止めた(J. Cell Biol., in preparation)。さらにエポキシド基を有する別の微生物代謝産物デプデシンも血管新生を抑制した(Biol. Pharm. Bull., 1995)。現在、エポキシド基がこれらの微生物代謝産物による血管新生阻害に関与しているかを調べるために、この官能基を修飾してその活性がどのようになるかを検討中である。 これらの知見を下に、血管新生は現在十分な治療法がなく、そのため新しい方法の確立が切望されている癌などの血管新生病の有望な標的であることを提唱した(Curr. Med. Che., 1995;最新医学,1995; Biotherapy, 1995;フルマシア,1995; Practical Oncol., 1996)。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Oikawa, T.: "Depudecin, a microbial metabolite containing two epoxiede groups, exhibits anti-angiogenic activity in vivo." Biol. Pharm. Bull.18. 1305-1307 (1995)
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[Publications] Oikawa, T.: "Strategies to find novel angiogenesis inhibitors as potential therapeutic agents for cancer." Curr. Med. Chem.1. 406-417 (1995)
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[Publications] 及川 勉: "癌増悪機能と血管新生" 最新医学. 50. 1178-1184 (1995)
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[Publications] 及川 勉: "血管新生の制御に基づく癌克服" Biotherapy. 9. 494-500 (1995)
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[Publications] 及川 勉: "血管新生制御剤開発" ファルマシア. 31. 1152-1154 (1995)
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[Publications] 及川 勉: "腫瘍の増殖、浸潤と血管新生" Practical Oncol.(1996)
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[Publications] 及川 勉: "今日の癌化学療法" 中外医学社(鶴尾 隆、西條長宏編), (1996)
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[Publications] 及川 勉: "血管新生のメカニズムと疾患" 医薬ジャーナル社(室田誠逸、井藤英喜編), (1996)