1995 Fiscal Year Annual Research Report
海産の大型および細細藻類の炭酸カルシウム沈着機構の生理学的研究
Project/Area Number |
06839012
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
岡崎 恵視 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (40014732)
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Keywords | 石灰化 / 炭酸カルシウム沈着 / 炭酸カルシウム / 石灰藻 / 海産藻類 / バイオミネラリゼーション / 結晶成長 / 海産生物の生理学 |
Research Abstract |
本年度(平成7年度)に計画した全ての研究項目を実施して、多くの新知見を得ることができ、当初の目的を達成した。 1.円石藻Pleurochrysis carteraeのコッコリスの微細構造及び結晶学的特性を明らかにした。この種のコッコリス(長経約2μm)は、結晶軸が互いに直交する「金敷」状の方解石の単結晶約13個から構築され、この2種のエレメントが交互に並んでリングを形成する。Emiliania huxleyiのコッコリスで提唱されたV/Rモデルが他の種にも当てはまることが初めて明らかになった。この結果は、J.Marine Biotechnologyに投稿中である。 2.円石藻の酸性多糖類のカルシウム結合特性、分子量を明らかにした。P.carteraeの微胞には2種の酸性多糖(A,B)が存在した。Bはコッコリスにも結合しており、そのカルシウム結合能は2.4μmoles/mgで、解離定数は高親和性部位で4.8x10^<-5>M、低親和部位で100x10^<-5>Mで、E.huxleyiのコッコリス結合多糖と類似の値を示した。Bの分子量は約5万であった。 3.酸性多糖Bは溶液の状態ではin vitroの炭酸カルシウム形成を強く阻害したが、セファロースビーズに共有結合により固定化すると阻害効果を示さず、また準安定な炭酸カルシウム飽和溶液中で方解石結晶を特異的に誘導した。 これらの結果は、生物制御石灰化機構のモデルを構築するための重要な知見である。 平成8年度(最終年度)では、次の項目を実施する。 1.カルシウム結合多糖の抗体を作製し、免疫電子顕微鏡法によりコッコリス形成部位における多糖の分布状態、結晶成長との関係を明らかにする。 2.本研究を総括し、報告書を作成する。
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[Publications] Hiwatari T.: "Effects of CO_2 concentrations on growth in coccoiithophorids(Haptophyta)" Energy Convers.Mgmt.(Elsevier Sci.). 36. 779-782 (1995)
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[Publications] 和田徳雄: "Mg^<2+>存在下でのカルサイト形成における溶存有機物の影響" 地球. 17. 707-712 (1995)