1995 Fiscal Year Annual Research Report
南日本、特に黒潮流域の島嶼産カイヤドリヒドラ類(ヒドロ虫綱)の海洋生物学的研究
Project/Area Number |
06839015
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
久保田 信 京都大学, 理学部, 助教授 (50153333)
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Keywords | コノハクラゲ / チレニアイガイ / カイヤドリヒドラクラゲ / クラゲの宿主からの遊離時刻 / 新宿主 / 温度耐性 |
Research Abstract |
本年度の当該研究により、以下の6つの知見が得られたので報告する。 1.広島県竹原町周辺海域で、コノハクラゲのポリプがチレニアイガイに高率で共生し、マガキやカリガネエガイなど他の有力な宿主候補の二枚貝類にまったくみられなかったことから、南日本型の在来の宿主は謎のままである。 2.2種のカイヤドリヒドラ類が共存する対馬において、クラゲが宿主から遊離する時刻が種間で明瞭に異なることが判明した。この結果を国際学会で報告し、欧文原著論文として投稿中である。 3.石垣島以南の南西諸島の大きな島嶼では、既知の宿主二枚貝の分布がみられるのにかかわらず、カイヤドリヒドラ類がまったく発見されなかった。したがって、分布の南限は、沖縄本島となる。 4.和歌山県と三重県で、3種の二枚貝がカイヤドリヒドラクラゲの新宿主として発見された。 5.宿主よりとりだしたポリプが、低水温では数日で死亡するが、高水温では長く生存することがわかった。 6.白浜産の種を用いて、冬季に低水温の瀬戸内海に移植し、ポリプの耐性を検査中である。コントロールの白浜産のものは冬季の間も宿主から消失することはなく、高い共生率を示した。
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